[ひとりごと(2001.6.8)]

InDesignでの数式組版をあきらめる

 数式を含む物理学の論文の書籍組版の仕事が入った。前に数式組版で苦労したのと同じ著者のもの。今回は経費節約のためにうちのプリンタでプリントしたものをそのまま紙版にするということなので、ソフトは何を使ってもいい。そこでInDesignを試してみることにした。
 作業を始めると、なかなか効率がよい。文字組関係は、文字組アキ量設定をうまく設定できれば、ほとんどさわることがないので楽だ。ルビが多かったが、この扱いもよい。おかげで文字組にあまり気を使わずに数式に集中できるのはなかなかよい。
 数式関係はいずれも前回のQuarkXPressでの方法を踏襲しているのだが、分数はインラインフレームでクリアできるようだし、ローマンとイタリックの使い分けも合成フォントと文字スタイルでわりと楽。また、入るのは簡単な図表なので、InDesign上で描画できるのも効率的だ。
 が、30ページほど進んだところでトラブル。なんと、カット&ペーストでフリーズする。そんなアホな。何度試してみても、2回目のカット(またはコピー)で固まった。最初からそういう徴候は見られたので使用を控えてはいたが、そうもいかない。
 で、デスクトップの再構築をはじめ、メモリ割り当てを100MBまで上げたり、初期設定ファイルを捨ててみたり、いろいろやってみたが効果なし。同様のトラブルを探してネットをさまよったが、見つからない。
 ふと思って新規ファイルで試してみると、問題がなかった。どうやらアプリケーションのトラブルではなくて、ファイルに問題が起きたようだ。まあ、フリーズをくり返していたから考えられないことはない。
 アプリケーションの問題ではなかったとホッとしつつ、しかしここで考えた。ファイルを作りなおすか、使用アプリケーションを変更するか。まだ前半のほんの少しの段階だから、ファイルを作りなおすのはさほどたいした作業ではない。しかしもっと進んだ段階で再びトラブルが起こったとしたら、やり直しはつらい。
 そこで気になったのが、Adobeのテクニカルソリューションデータベースの「InDesign 1.0J (Mac):パフォーマンスの最適化」にあった次の記述。

他のレイアウトプログラムと同様に、InDesign には多くの複雑なテキストレイアウトルーチンがあります。このため、大量のテキストを再描画する際にワープロよりも時間がかかることがあります。InDesign は、大きな複数ページのストーリーよりも、小さなテキストセクションの作成に適しています。(項目「Q.ワープロを使ってテキストを編集してから InDesign に配置します」)

 やっぱり雑誌や新聞のようなものには向いていても、書籍にはまだ向かない、あるいはマシンパワー不足なのだろうか。いずれにせよ、多少の図版は含むが大半はテキストばかりで、およそ400ページほどの書籍になる予定だ。開発元でさえ長いストーリーはすすめていないようだから、ここはあきらめるのが妥当かもしれない。
 というわけで、今回は涙を飲んでQuarkXPress4.1に切り替えることにした。
 とはいえ、QX4.1だからといって何か特段の不都合があるわけではない。むしろ作業を始めてみると、うはっ、軽い。前回のノウハウや失敗した教訓、その後教えていただいたことなどをそのまま生かせる。加えて、前回使用した3.3よりフォントセットや禁則処理、文字スタイルなど機能が強化されているのも大きい。さらに、作業中にそう大きなトラブルは起こらないと安心できるのは、精神衛生上も非常によい。おかげで作業はサクサクと進みだした。
 もっとも、目下の最大の悩みは物理学の記号がよくわからないこと。知識が足りないのが問題なのだが、原稿を見ても「1」なのか「C」なのかわからなかったり、「00」なのか「10」なのか「W」なのか判読不明なのはいかにも困る。アプリケーションはサクサク動いているが、どうやらこの解読は今後もモタモタしそうだ。

(記/2001.6.8)


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