1行目のルビを考える(1)
■これまでの回避法
 
 ルビが多い組版はゾッとする。妹尾河童さんの『少年H』など、本はおもしろかったから一気に読んでしまったけど、あのルビの多さには「こんなの組みたくない」と心密かに思ったほどだった。 
 大量のルビの作業を大幅に軽減するXTensionにはBase&Boxなどがあるが、これにしたってテキスト段階でXTensionが求める形式に整理しておく必要がある。いずれにしても、ルビの作業は頭痛の種の一つであることは間違いないだろう。 
 
 数が少なくても困るのは、1行目のルビだ。QuarkXPressはテキストボックスの中に文字を流し込む形式だから、テキストボックスの最初の行にルビがあると、右のサンプルのようにルビの幅だけ行がずれることになる。もちろんその結果、最後の行がボックスに収まらなくなる。 
 むろん、これはボックスのサイズを変えれば済むことではある。しかし問題は、テキストボックスがマスターページアイテムである場合だ。 
 本文組みのテキストボックスをマスターページで作るのは、レイアウトが比較的単純な書籍や雑誌類で多いと思うが、この場合、ドキュメント上ではマスターページアイテムに変更を加えないのが何かと便利だ。そうすれば、たとえば版面がページのセンターから外側または内側にオフセットされている場合、見開きマスターならページの左右が入れ替わってもちゃんと正しく左右のページが適用される。 
 ところが、1行目のルビのために本文用のマスターテキストボックスのサイズを変更すると、ページの左右が入れ替わった時にも正しいボックスが適用されないし、校正などで行がずれてもそのままだから行ズレの原因になりやすい。 
 そこでこれまで私は、次のような苦肉の策をとっていた。 
 
- わざと、うっかり忘れる(すぐにばれる……)
 - 前の行を詰めて、なんとか1行目にこないようにする(おお、原始的!)
 - ルビでなく括弧にする(これもすぐに見つかる……)
 - もうどうしようもなくなったら、仕方がないからテキストボックスを広げる
  
 なんとも涙ぐましいことだが、テキストボックスを広げるにも、実はルビのサイズだけ広げたのでは収まらない。ルビと被ルビ文字との間隔があるからだが、これがよくわからない。したがってかなりアバウト、勘に頼るようなことになってしまう。どうもこれがずっと気になっていたところだった。 
 そんな時に「DTPフォーラム」でも少し話題になり、情報交換する中で見つけたのが次の方法なのだ。 
 
(記/1998.5)
 
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