[QuarkXPress奮戦記 vol.24]

変更箇所保持と変更箇所消去(1)

 このごろDTP-Sの上高地仁氏の依頼で、同氏の編集による「Gordian Knot」にこの奮戦記を再編集しながら連載している(連載記事はにPDFファイルでアップ)。その連載第2回目でマスターページについて書いたが、その中でふれたマスターページアイテムの「変更箇所」の設定について、DTP迷宮伝説(ラビリンス)の渋谷孝雄氏よりメールをいただいた。

「小国さんは、この設定を『変更箇所保持』を推奨されていますが、私は『変更箇所消去』で使っています」
 どちらを使っても大差はないのではないか、自分のところでは大きな問題は起こっていない。もっとも「変更箇所保持」で運用したことがないので勘違いはあるかもしれない――、というような内容だった。

 実はさほど強く推奨したつもりではないのと、私は逆に「変更箇所消去」を使ったことがなかったので、痛いところを突っ込まれたと思ったわけだが、とりあえず私が考えている「保持」と「消去」の違いで起こりうる問題について返信した。
 渋谷氏からは、私の示したケースでは問題がありそうなので良い方法がないか考えてみたいとのメールが届いた。
 せっかくな面白そうなネタを提供していただいたので今回、私もここで変更箇所の「保持」と「消去」について考えてみたい。この件についてはバージョン3.3でも4.0でも基本的に同じだ。

このコラムで、マスターページの「再適用」とは同じマスターを改めて適用しなおす場合(内容を変更している場合も含む)、「新規適用」とは別の新たなマスターを適用する場合、「更新」とはマスターページのアイテム変更に伴ってドキュメントページで自動的に新しいアイテムに入れ替わる場合をさす用語として、それぞれ使用している。

■「保持」と「消去」っていったい何?

サンプル

 まず、「変更箇所保持」と「変更箇所消去」とはそもそも何か。
 QuarkXPressの一般環境設定ダイアログの左下に「マスターページアイテム」という項目があり、そこでこの「変更箇所保持」と「変更箇所消去」が選択できるようになっている。デフォルトは「保持」だから、特に何もしなければ「保持」で使っていることになる。
 この「変更」の対象はマスターページアイテム、つまりマスターページ上に作った画像ボックスなりテキストボックスなりラインなりのアイテムだが、それをドキュメント上で変更する場合をさしている。マスターページ上でのアイテムの変更ではない。
 通常、ドキュメント上で編集作業をする場合は、各ページに必ず、空白マスターを含めたいずれかのマスターページが適用される。作業を始める最初は、各ページは適用されたマスターページと全く同じだ。
 ここで、各ページでマスターページアイテム以外にどんなアイテムを追加しても、それらはこの設定とは関係ない。
 マスターページアイテムそのものを変更する、つまりサイズや位置、カラーや取り込んだ画像やテキストその他アイテムの属性を変えて加工したもの、あるいは削除したところが「変更箇所」とされる。

 問題になるのはこのあとで、これら「変更箇所」を含むページにマスターページが再適用または新規適用された場合だ。
 このときに「変更箇所保持」であれば、加工したアイテムはそのまま保持される。つまり再適用されても新規適用されても相変わらず同じ位置にある。その代わりに、マスターページアイテムが加工したアイテムの背面に出現する。
 簡単に言えば、せっかく席を確保したのにトイレに行っている間に取られてしまい、その人が怖そうな人だったので何も言えず、仕方がないからその後ろに座った、というようなケースだ(実際には離れて座るだろうが……)。
 一方「変更箇所消去」だと、同様の場合で加工したアイテムはマスターページアイテムに入れ替わる。つもり元に戻るなり、新しいマスターページアイテムに取って代わられる。
 先の話に言い換えれば、席を取られたが「どけ!」と言ってまた自分が座った、といったところだ。
 もちろんマスターアイテムを削除した場合は、「保持」すべきアイテムがないのでマスターページアイテムが登場するのは当然だ。
 このあたり、文字ではわかりにくいので実例で示してみよう。


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