[QuarkXPress奮戦記 vol.26]

「プリンタフォントの有無」を考える(4)

■PDFファイルをつくる時は「Printer Fonts」を外す

 「プリンタフォントの有無」の情報が正常でであるがゆえに問題がおこるケース、それはPDFファイルを作成する場合だ。
 PDFファイルを作成するには、QuarkXPressからPSファイルを書き出し、それをAcrobat DistillerでPDFにするのが通常の手順だ。
 「プリンタフォントの有無」の機能が有効である時、プリンタフォントがないものは、PSファイルを書き出す際にもプリント時と同様に、QuarkXPressが直接ラスタライズすることになる。その結果、できあがるPDFファイルのテキストはフォントではなくラスタ画像(ビットマップ画像)となる。
 しかし、XTensionフォルダから「Printer Fonts」を外して「プリンタフォントの有無」機能を無効にすると、QuarkXPressはラスタライズしないので、PSファイルもフォントデータで作成される。よってPDFファイルも正常なフォントになる。バージョン3.3でPDFファイルを作成する時は、これがポイントだ。(補足
 言葉で説明するより実物を見る方がわかりやすいので、以下にサンプルPDFファイルを作成してみた。いずれもAcrobat4.0で「3.0互換」形式で作成したもの。その下の画像はそれぞれのPDFファイルのフォント情報。

●サンプルPDF1(74KB)……「プリンタフォントの有無」有効(QuarkXPress3.3)
●サンプルPDF2(12KB)……「プリンタフォントの有無」無効(QuarkXPress3.3)

サンプル

サンプル

 なお、「EPSファイルでページ保存」したファイルをDistillerでPDFにしても、フォントは正常だ。「EPSファイルでページ保存」は「プリンタフォントの有無」とは無関係で、ラスタライズしないからだ。単ページものであれば、わざわざ「Printer Fonts」を外してQuarkXPressを再起動する手間が省ける。
 バージョン4.0では「プリンタフォント」機能がプログラムに組み込まれたため、上記のようにXTensionから外して無効にするといった操作はできない。ではどうすればよいかということだが、私のところにあるのはいまだデモ版のみであること、当然ながら私自身も4.0を使い込んでいないため、正確な検証には不安がある。実際、やってみたらどうもうまくいかなかった。よってこれは今後の課題としたい。
 ところで、デジタル画像として配信する以外にも、このフォントにからんでQuarkXPressドキュメントをPDFにする効果がある。

補足)QuarkXPressがフォントのラスタライズをするかしないかが焦点なので、それを理解すれば手動での対応は可能だ。
 フォントデータとしてPDFにするには、ドキュメントのフォントがすべてプリンタフォントのあるものなら「プリンタフォントの有無」はそのままでOKだし、プリンタフォントがなければ一時的に「有」にすればよい。これはATMフォントもなくてビットマップフォントだけの環境でもOKであることを確認した。先に見たプリントで文字化けする状態も、PDF変換にはむしろ都合がよいものとなる。
 しかし、いちいち手動で変更するよりも「Printer Fonts」を外すのが、いわば手っ取り早い方法ということ。
 なおバージョン4.0の場合も、考え方としては手動で「ポストスクリプト印刷」をオンにすればよい、ということになると思われる。3.3のように機能を無効にする方法は、今のところ私には不明。あしからず。(10/10追記)


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