[えでぃっとはうすのときど記]

ネガティプオプション

 勝手に商品を送りつけ、代金を請求してくるのを「ネガティプオプション(送りつけ商法)」と呼ぶと知ったのは、つい最近のことだった。ちょっと勉強になった。

 実は3月中旬、学校を卒業して娘が神戸から引っ越してきたのだが、その際に、なんとかチューナーなるものを持って帰ってきた。聞けば、勝手に送ってきたものでよく知らない、といまひとつ要領を得ない。
 仕方がないから放っていたら、4月中旬になってその会社かららしい封書が届き、返送用の送り状が同封されていた(実際には3月中旬に神戸に届いていたものを娘の知人が預かり、娘は約1か月遅れで受け取ったものらしい)。不要なら送り返せばいいという。こういうのをズルズル置いておくのはうっとおしいので、相談の上、すぐに送り返した。

 やれやれと思っていたら、しばらくして請求書が届いた。3月分の基本使用料と手数料か何かで700円だという。しかも、なんだか継続して利用しているような扱いに思えて不審に思った。
 ここに至って初めて、その会社のWebサイト等を調べてみた。すると、一定期間を過ぎると課金対象になるとか、使用から3か月以内の解約だと違約金3,000円がいるとか書いてある。なんやて……、である。

 Webサイトによると、その会社はインターネット網を通じて映画を配信しているらしい。ブロードバンド環境とテレビがあれば、その間に専用のチューナーを接続することにより、ネット配信の映画を家庭用のテレビで視聴することができる、というのだ。

 改めて娘に聞くと、1月の後半に街頭で呼び止められ、アンケートを求められたという。アンケートくらいならと応じたら、しつこく勧められたらしい。しかし、娘にはパソコンもなくネット環境もなかったから、はっきり「いらない」と断ったのだという。当然ながら、詳しい説明など聞いていない。にもかかわらず、そのチューナーなるものが勝手に送りつけられたというのだ。
 返送用の送り状が同封されていたらしいが、その配送会社の営業所がどこかわからず、卒業前の忙しさもあって放置状態になり、そのまま引っ越してしまった、という。

 したがって一度も、接続も利用もしていない(そもそもできない)。にもかかわらず、期間が過ぎたことだけをもって請求してくる。これはどう考えてもおかしい。
 その会社のWebサイトをよく見ると、1月後半の日付で、強引な勧誘があり、望みもしないのにチューナーが送りつけられたケースがあったとして、お詫びの告知がしてあった。まさにそれではないか。
 さら調べてみると、同様のケースはいろいろあるようで、ネットでも複数の同様情報がヒットした。

 こういうなかで知ったのが「ネガティブオプション」についての情報だった。ようするに、契約は成立していないので、支払義務はまったくないというのだ。もとより支払う意思はないのだが、これは大きな励みになった。
 そこで家族でも相談した結果、無視することにした。モノはすでに返送しているし、余計な関係はもたないでおこうというわけだ。

 提供しているサービスそのものは有益なようにも思えるし、会社情報を見る限りではそこそこの規模らしい。しかし、こんなセコいことをしているようでは、先が思いやられる気がした。

(記:2006/05/04)



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