[QuarkXPress奮戦記-番外編2]

1行目のルビは「1行目のベースライン」調整で解決できる

オフセット

 テキストボックスの「1行目のベースライン」の調整で、縦組み時の1行目のルビ、傍点もまったく問題にならなくなることに、つい最近になって気がついた。また、1行目の文字サイズを変更した場合にも対応可能だ。そうなると「vol.16 1行目のルビを考える」で書いたような面倒な方法は必要がなく、どうやらこれは撤回しなければならないようだ。そこで、番外編として臨時に掲載することにした。
 基本的な手順は次の通り。

(1)「1行目のベースライン」の「オフセット」値を設定する
「1行目のベースライン」は、該当するテキストボックスを選択した上で、アイテムメニューの「設定」を開く。入力すべきオフセット値は「文字サイズ+ルビサイズ+α」だ。
 サンプルは14級の文字なので、3.5mm(文字サイズ)+1.75mm(ルビは文字の半分)+0.25mm(1級)とした。
「+α」というのは、ルビサイズをそのままプラスしたのではうまくいかないからだ。実験してみたところ、ルビサイズより少し大きければ任意の数値でかまわない。そこで計算しやすいように1級分プラスすることにした。

説明図

(2)テキストボックスの拡大
 次に、「オフセット」値から文字サイズを引いた分だけテキストボックスを拡大する。サンプルでは2mm。これでOKだ。
 なお、ボックスの「テキストとの間隔」は「0」。そして、この関係を示したのが右のサンプルだ。
 ただし、文字揃えが「ベースライン」になっているとズレるので要注意。これは「センター」がよい。

■マスターページで設定

 マスターページで本文用テキストボックスを作る場合は、上記の作業をマスター上で行っておけば、ドキュメント上では1行目にルビがあろうが傍点があろうが、テキストボックスには何も変更を加える必要がなく、かつ行揃えにも影響しない。
 マスターページは、通常の要領で指定行がピッタリ収まるマスターガイドを作る(「vol.21 ポイントか級数か――版面とマージン」参照)。このマスターガイドにそって作られているテキストボックスに、上記とまったく同じ要領で変更を加えればOKだ。
 マスターガイドとテキストボックスのサイズは合わないが、文字の入る範囲はマスターガイドとピッタリ合っている。つまりマスターガイドが版面を示しているので、ドキュメント上のさまざまな作業にも影響しない。わずらわしい1行目のルビや傍点を気にしなくてよいので、仕事はかなり楽チンになる。

■「オフセット」は文字サイズより大きくないと意味がなかった

 気づいたのはふとしたことからだった。
 Base&BOXというXTensionは、1行目のルビを収めるためのボックス調整の機能を持っているが、その方法がこの「1行目のベースライン」の調整だ。以前試した時は行揃えがうまくいかず、手による微調整が必要だった。そして「オフセット」値をどうしたらよいかよくわからなかったので、結局ダメだなと思っていた。
 現在横組みのドキュメントを作成しているが、ルビや傍点が多く、ベースライングリッド固定にした上で、テキストボックスはマスターガイドより上下に少し大きくして作業している。これだけで1行目のルビ・傍点に対応できている。似たようなことが縦組みでもできないかと思って、改めて「1行目のベースライン」に挑戦してみたわけだ。
 考えてみれば当たり前だが、「1行目のベースライン」は文字の下側(左側)なのだ。
 同じところにある「最小値」の「アセント」とはフォント用語で下図の通り、ベースラインより上の部分をさす。「オフセット」値とこの「最小値」を比較して、大きい方が使用されるという仕組みになっている。

フォント用語

 この「最小値」には他にも二つの選択肢があるが、マニュアルによると「日本語フォントに対しては、これらのオプションには影響しません」とある。どうやら欧文フォントが対象のようだ。
 日本語フォントでも「文字揃え」で「ベースライン」を選択すると、縦組みでも確かにフォントのベースラインと「1行目のベースライン」が一致するためにズレるが、それ以外だと上のサンプルようになる。つまり「最小値」は日本語フォントの場合、文字サイズと考えてもよいだろう。
 すると「オフセット」値に文字サイズよりも小さい数値を入れても何の変化もない。私はこれまで、まさにそうしていたのだ。やっと原因を理解した。

 結局「1行目のベースライン」を、マスターガイドより左に文字サイズ分オフセットすればよいわけだ。そしてテキストボックスを拡大する分とまったく同じサイズを、「オフセット」値にプラスする。これで行の位置は変わらない。
 サンプルの場合は2mm加えたが、これが3mmだろうが5mmだろうが同じこと。ようするにルビが入ればよいのだ。だからこれは、わかりやすい数値にすればよい。
 また、1行目の文字サイズを変えても、文字は「1行目のベースライン」を基準に右側に増減するので、後続の行には影響せず、したがって行ズレも起こらない。もっとも、行のセンターからずれるので「ベースラインシフト」での調整が必要になる。拡大した場合は版面からはみ出ることになるので、できるだけ避けたいところだ。
 なおこの件については、QuarkXPress4.0日本語版でも全く同じだ。

(記/1998.11.5)

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