「フレックススペース」の話(2)
■「H&J」と組み合わせて、追い込み禁則にする
分離禁止フレックススペースを使った禁則処理を追い込みにするには、「H&J」と組み合わせるのが手っ取り早いだろう。
サンプルの「H&J」ジャスティファイ設定値は私が実際に使っているものだが、これは何も分離禁止フレックススペース用というわけではない。
かなと漢字の最小値を「-10%」にすることで、通常はベタ組みだが文字の組み合わせに応じて最大5%の詰めを可能にするという設定で、これによって行頭にきた句読点や括弧が追い込まれる。
段落書式で「H&J」をこのような設定値のものにしていれば、分離禁止フレックススペースを使っても同様の効果が得られる。
ただし設定によっては、行長が短いと効果が現れない。促音や音引きは全角文字だから、句読点や括弧のようにはいかないからだ。5%の詰めなら21字以上で効果が現れる。実は先のサンプルもこの「H&J」を使用しているが、16字と行長が短いため追い出しになっている。21字以上にすると右側のサンプルのように追い込みになる。
段組編集などで行長が短い場合は不向きだが、書籍など行長が長いものには十分に有効な方法だと思う。
ところで、ひょっとしたら「ん?」と思われた方があるかもしれない。設定枠に「%」があるためつい混乱してしまうが、「H&J」の「10%」という数値は、トラッキングやカーニングの「10」と同じと考えていいようだ。200分の10だから5%ということになるが、このあたりちょっと混乱しそうな場面だ。
このことは次の方法で確認できる。これは大熊@tonanさんが確かめた方法だ。
- まず、和文だけのテキストを入れたテキストボックスを用意し、段落書式で「H&J」標準を適用する。
- 次にこれをコピーして同じものを二つ作る。片方のテキスト全体をトラッキング「-10」にする。もう片方には、かなと漢字の「最適」「最小」を「-10%」にした新規「H&J」を作り、これを適用する。
- この二つのテキストボックスのバックグラウンドをなしにして重ねると、ピッタリ重なる(もちろん回り込みは「なし」にする)。したがって「H&J」とトラッキング・カーニングの数値の性格は同じということになる。
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