「フレックススペース」の話(4)
■フレックススペースって何?
ところで「フレックススペース」って何だろう。
右のサンプルのように、文字環境設定ダイアログの左下に「フレックススペース幅」という設定項目がある。私はこれまで、いったいこれは何だろうと思い、よくわからないから無視していた。つまり、設定値はデフォルトのままである。
マニュアルによると、
「フレックススペースとはユーザーが変更できるenスペースのことです」
とある。しかしこれだけでは何のことかさっぱりわからない。
よく読むと、どうやらこれはもともと欧文用の機能のようだ。「オプション+シフト+スペース」で入力されるのが「フレックススペース」で、その幅をこの文字環境設定で変更できるらしい。たとえば、欧文の単語間のスペース幅を特定のところで変えたいような時に使用するのだろうか。
そしてスペースの前後を分離禁止にしたければ、これにコマンドをプラスした「コマンド+オプション+シフト+スペース」を使用する。それが「分離禁止フレックススペース」なのだ。
ここで、たぶん「Flex」だろうとあたりをつけて、大昔の高校生の頃に使っていた英和辞典を引いてみた。すると「〔解〕<筋肉が間接を>曲げる;〔地質〕<地層を>たたみ曲げる(bend)」(研究社『新英和中辞典』第3版1971年)とあり、ますます「何のこっちゃ」。
しかしその下の「Flexible」に「融通のきく」とあった。ようやくここまできてよく考えたら、なんだ、「フレックスタイム制」の「フレックス」と同じではないか。まったく英語がおぼつかないと困ったものだ。
ようするにこれは、ユーザーが融通をきかせて幅を自由に設定できるスペースで(1%〜400%まで設定可能)、それには幅だけ変えられる分離可能なものと、幅とともに分離禁止にもできますよ、ということらしい。
禁則処理に幅の方はさしたる重要性はなくてもっぱら「分離禁止」という点に注目しているわけだが、もともと欧文用の機能を日本語の禁則処理に使おうとは、QuarkXPressの制作者も予想だにしなかったに違いない。どうやらこれは、それくらい「融通がきく」ようだ。
(記/1999.4.14)
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