[QuarkXPress奮戦記 vol.32]

QX4.1「XPress Preferences」の落とし穴

■「XPress Preferences」の移動実験

 思うところがあって「XPress Preferences」に関する次のような実験をしてみた。

  1. プリンタフォントが全て「有」の状態を作る。
    1. QuarkXPress4.1を起動し、新規のドキュメントを作る。
    2. 印刷ダイアログを開き、「プリンタフォント」タブで全フォントの「ポストスクリプト印刷」をオンにする。ようするに全てのプリンタフォントが有という状態だ。この状態を保存して印刷ダイアログを閉じる。
    3. ドキュメントを任意のファイル名(ドキュメント1)で保存し、アプリケーションを終了する。
  2. プリンタフォントが全て「無」の状態を作る。
    1. 「XPress Preferences」をコピーし、待避しておく。
    2. 続いてQuarkXPress4.1を起動し、新規のドキュメントを作る。
    3. 印刷ダイアログを開き「プリンタフォント」タブ見ると、全フォントの「ポストスクリプト印刷」は1-2での設定通りオンになっている。これを今度は全て「オフ」にする。ようするにプリンタフォントは全て無という状態だ。この状態を保存して印刷ダイアログを閉じる。
    4. ドキュメントを任意のファイル名(ドキュメント2)で保存し、アプリケーションを終了する。
  3. ドキュメント1を開いてみる。
    1. QuarkXPress4.1を起動し、全フォント有状態で保存したドキュメント1を開く。特に何の問題もなく開いた。
    2. 印刷ダイアログを開き「プリンタフォント」タブ見ると、全フォントの「ポストスクリプト印刷」はオフになっている。これは2-3で設定した通りだ。
    3. ドキュメント閉じ、アプリケーションを終了する。
  4. 「XPress Preferences」を入れ替える。
    1. 「XPress Preferences」を、2-1で待避したファイルと入れ替える。
    2. QuarkXPress4.1を起動し、今度はドキュメント2を開く。これも特に問題なく開いた。
    3. 印刷ダイアログを開き「プリンタフォント」タブ見ると、今度は全フォントの「ポストスクリプト印刷」がオンになっている。
    4. ドキュメント閉じ、アプリケーションを終了する。これで実験終わり。

■プリンタフォントの有無は「XPress Preferences」に書き込まれる

 上記で次のことが確認できると思う。

  1. QuarkXPress4.1で、プリンタフォントの有無に関する情報は「XPress Preferences」に書き込まれる(2-3、3-2、そして決定的には4-3がその証明)。
  2. 「XPress Preferences」を移動すると、そこに含まれるプリンタフォントの有無情報も移動する(4-3)。
  3. プリンタフォントの有無情報が異なる環境で保存したドキュメントを開いても、「XPress Preferencesファイルのデータと異なる設定が含まれています」というアラートは出ない(3-1、4-2)。

 ちなみに、同じ実験をQuarkXPress3.3でも行ってみた。「XPress Preferences」を入れ替えた4-3でもプリンタフォントの有無は2-3のままだった。バージョン3.3の「プリンタフォントの有無」の機能は「Printer Fonts」というXTentionで提供されるため、データはそのXTentionのファイルに保存されて「XPress Preferences」は関係ないのだと思われる。
 一方、バージョン4.1では「プリンタフォントの有無」がアプリケーションの機能となっている。そのために「XPress Preferences」に影響するのだろう。

■「XPress Preferences」を移動したらプリンタフォントに要注意

 これらから言えることは、バージョン3.3と同じ感覚で「XPress Preferences」のやりとりをすると思わぬトラブルになりかねない、ということだ。
 つまり、プリンタフォントが揃っていないSOHOの環境で作ったドキュメントを、フォントの揃った出力センターや印刷所などに持ち込む場合、「XPress Preferences」もいっしょに移動してそのままプリントしたとしたら、出力センターの「プリンタフォントの有無」が、制作したSOHO環境の設定になってしまう可能性があるといえよう。

 しかし、トラブルの可能性を認識していれば、回避する機会はいくらもあるだろう。
 まず、そういう目で見ればプリント結果は一目瞭然だ。少し注意深く見れば、フォントの正しいプリントか、QuarkXPressの下手くそなラスタライズか、を見分けることはそんなに難しくはない。
 また、ドキュメントを開く時にアラートは出ないが、プリンタの環境が変われば「印刷」ダイアログを開く際に次のようなアラートが出ることがある。

サンプル1

 ようするに、改めてプリンタフォントを検索すれば問題解決なのだ。だから、この警告には素直に従うことだ。けっして「もう検索してあるから大丈夫」と無視してはいけない。「以後このダイアログを表示しない」もチェックしないのがいいだろう。
 いずれにせよ、4.1で「XPress Preferences」を移動したらプリンタフォントに要注意。この姿勢が重要だろう。

(記/2004.9.9)

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