京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
油長さんからメールマガジンが届いて、次のような蒼空「おりがらみ」の限定販売の案内があった。
「藤岡酒造の「蒼空」は槽搾り(ふなしぼり)・無濾過にこだわっている為、搾った清酒をビンに詰めた後に、わずかにおりがらみ(うすにごり)ができます。これまでは、蔵内で使われていたのですが、今季の2号タンク純米吟醸山田錦のおりがらみ(うすにごり)生原酒を特別に分けていただけることになりました」
実は蒼空については、次は純米大吟醸を試そうと思っていた。が、500ml瓶にして60本あまりのレアものと知れば、思わず食指が動くというものだ。油長さんの通販サイトで残12本という段階で注文した。
「うすにごり」と言えば、この連載では「富翁ささにごり」のイメージがわく。つまり活性酒で、少し炭酸味があるのではないかと期待したわけだ。
しかし届いた「蒼空」には、残念ながら炭酸味は感じられなかった。たぶん、おりがらみと活性酒というのはまったく別物なのだろう。
開栓すると甘い吟醸香が漂う。写真を撮った時はわりと澄んでいたが、よく見るとおりが沈殿していて、瓶をゆするとまさに「うすにごり」状態になった。ちなみに以前飲んだ通常の「蒼空」はこちら。
それは、ある酒蔵取材の折に仕込みタンクのフタを開けて、もろみをひしゃくですくって飲ませてもらった時のような感覚だった。
そう思って改めて油長さんのメールを読むと、「出来上がったもろみをタンクから直接すくって飲んでいるような、フレッシュでいて、かつ『蒼空』らしいスッキリとした清涼感があります」とある。
おお、僕の感覚もなかなか的を射るようになってきたのではないか、と心の中で喜んだ次第だ。とはいえ、あいかわらず表現力の乏しさを痛感もしたが……。
もしもテイスティングをご希望なら、もう残りは少ないはず。お急ぎくだされ。
なお、どうでもよいことだが、今回から写真の撮り方を変えてみた。以前との背景の違いに注目いただけるとうれしい。
さらになお、やっぱり500mlというのは一気に飲んでしまえる適度な量のようだ。アテもないのに空いてしまった。
【データ】
純米吟醸「蒼空」おりがらみ(うすにごり生原酒)2005年度仕込み2号
醸造元:藤岡酒造株式会社
製造年月:2006年4月
原材料名:米・米麹
原料米:山田錦
精米歩合:55%
アルコール分:16度以上17度未満