京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
「丹州(たんしゅう)」とはこの場合、京都府中部の丹波地方のことらしい。現在の丹波、丹後、但馬の各地方を勢力としていたという古代の「丹国(にのくに)」の別称でもあるらしいが、丹波単独でもこう呼ばれたことがあるという。これを由来として名づけたのであろう綾部市の「丹州河北農園」で農薬を極力使わずに栽培された山田錦を、北川本家が醸したものだという。
さっそく開栓した。ほんの少し、吟醸香がこぼれ出る。コップにそそぐと、ごくごく淡いブラウンという感じで、無色ではない。
口に含むと、あっさりしている。濃いとか味があるという感じではない。つまり端麗。そして口当たりも、やわらかいというよりキレがある感じ。さらに、コップに2杯目くらいからは辛さが立ってきた。
辛口ならば、僕の定番のアテは生協のポールウインナーなのだが、あいにく冷蔵庫にストックがなかった。代わりにスライスチーズを見つけたので、それを食べながら飲んでみた。抜群の相性というほどではないが、しかしケンカをするでもなく、悪くない。
すると今度は、無性にアテがほしくなってきた。さらに冷蔵庫を伺うといただきものの、いかなごのくぎ煮を発見。これまた、食べながら飲んでみた。これはなかなか合う。いやあ、おかげで酒がすすむわ。
実は日本酒は、約3か月ぶりだ。このところバタバタしていた上に、健康診断で十二指腸潰瘍が見つかったものだから、直近1か月はアルコールも控えていた。
もっとも医者によれば、アルコールよりもコーヒーの方がダメだという。一番ダメなのはタバコらしい。タバコはやめて5年になるからいいが、コーヒーは毎日数杯は飲んでいたからちょっと辛い。「なんとかなりませんか」という目で見たら、1日1杯ならOKが出た。
さらについ先日まで、ピロリ菌を除菌する薬を飲んでいた。それも無事に飲み切って、気分的にもちょっと落ち着いてきたから、少しずつアルコールも再開しようかな、というところなのだ。
そんなところで、くぎ煮もなくなった。今夜はこのへんにしておこう。
【データ】
純米吟醸「丹州山田錦・富翁」
醸造元:株式会社北川本家M
製造年月:2007年12月
原材料名:米・米麹
原料米:山田錦(丹州河北農園契約栽培)100%
精米歩合:55%
日本酒度:+4.0
酸度:1.4
アミノ酸度:1.5
酵母:京の琴
アルコール分:15度以上16度未満