京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
今回は伏見も京都市も飛び出した。「玉川」は僕のふるさと京都府北部、京丹後市久美浜町に二つある蔵元・銘柄のひとつだ。
以前はもうひとつの蔵のお酒ばかりを飲んでいたように思う。ところが前回の「英勲」を飲みながら新酒鑑評会の入賞酒一覧を見ていたら、このふるさとの銘柄も金賞を受賞しているのが目に止まったのだ。そこで蔵元サイトにアクセスすると、あったあった、金賞受賞酒がネット販売されている。でもそれは純米でなかったので、純米党の僕としては、ここでは純米を取り上げようと考えた次第だ。
僕はちっとも知らなかったがこの蔵、すでに14年前の1994年に金賞を受賞し、最近も2003年からは1〜2年おきに金賞を受賞している。しかも驚いたことに、この蔵の杜氏は英オックスフォード大卒のフィリップ・ハーパーさんという外国出身の人だという。そのせいもあってか、ネットでもちょっとした話題になっているようだ。
さて、お酒は注文するとすぐにやってきた。「どうせなら」という思いもあって最高級酒を買ったのだが、通販の選択肢に「桐箱なし」があって、その分安くなっているのも好感度が高い。
瓶はほとんど黒に近い濃いグリーンの、ワインボトルのような直線的な形のものだった。開栓してもほとんど香りはこぼれなかったが、コップを口に近づけると、淡い吟醸香が心地よい。色はごくごく淡いブラウンといったところ。
ほんの少し口に含んで、そのまま口からズズーッと空気を吸ってみた。なんだかブドウのような香りが漂う。これが第一印象。
続いて、少し多めに口に含んでみる。口当たりがやわらかい。伏見の水に似ている感じだ。前に京北のお酒を飲んだ時はずいぶん違うように思えたが、それよりはるかに離れているのに、意外なほどに差が少なかった。
ふるさとのお酒ゆえかもしれない。特に最近は帰省する機会も多く、改めて田舎の水に慣れてきているからかもしれないとも思える。
お酒には、日本酒度などの表示はない。蔵元サイトにもない。感覚的には+3〜4くらいかな、という感じ。コップ3杯目くらになると、けっこう辛口だ。Webサイトでも、もう少しデータが公開してあるといいのにと思う。
でも全体として、蔵元の上げ潮感を感じるお酒だ。今後の展開に大いに期待したい。実は金賞受賞酒も小さな瓶を買ったので、これもあとで味わってみようと思う。
【データ】
純米大吟醸「玉川」
醸造元:木下酒造有限会社
製造年月:2008年8月
原材料名:米・米麹
原料米:山田錦100%
精米歩合:40%
アルコール分:16度以上17度未満