京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
以前このブログで、京都には松井酒造もあると指摘され、そやそや、そーだった、と気になっていたが、先日たまたま近所を通ることがあったので、ちょっと寄って買ってきた。銘柄はいろいろあるが、純米党の僕としてはどうしても純米酒に目がいく。純米酒の種類が少なく、特に吟醸、大吟醸に純米がないのがちょっと残念だが、代表銘柄の「京千歳」とブログですすめられた「富士千歳」のそれぞれ純米酒を買ってみた。
銘柄のなかに「金瓢」が含まれていたから驚いた。これはもともと祇園で生まれたお酒のようで、そこはいまこんなのになっている。数年前までは伏見酒造組合の蔵元一覧に名を連ねていた三宝酒造が醸造していたようで、このブログでも蔵元としてジャンル登録していたところだ。
事情は知らないが、どうやらその三宝酒造もなくなり、「金瓢」の銘柄は2007年にこの松井酒造に移ったようだ。なんだかちょっとした感慨がある。
さてささいなことだが、「京千歳」から飲むか「富士千歳」にするか、ちょっと悩んでいた。やっぱり礼儀としては、代表銘柄だろうと考えた。が、代表銘柄は何? ちょっと迷った。蔵のパンフレットでも「京千歳」が一番上に書いてあったのでたぶんそうだろうとは思いつつ、確信はない。京都府酒造組合連合会のサイトの蔵元一覧で、ようやく「京千歳」と確認できたので、まずはこれを開けてみた。
失礼ながら、正直なところあまり期待していなかった。データ的には普通の純米酒だ。それ故か、開栓時から意外にも香りがかぐわしい。お、香るやんか、といったところ。
口に含むと旨みを感じる。というか、ぶっちゃけたところ、やや甘い口当たりだ。でも喉ごしはややカーッとするものもある。
しばらく飲んでいると、鼻がマヒしてきたようで、あまり香りも感じない。口当たりや味も薄くなったような感じがする。それを淡麗と言ってもいいのだが、率直に言えばやや水っぽい感じなのだ。
そのくせというか、それ故というのか、アテがほしくなってきた。いつものポールウインナーはなかったが、冷蔵庫にちくわがあったのでもってきた。でも、いまいち合わない感じ。続いて、ビールのアテにと買っていたお豆さんを出してきた。これが合う。ちょっと口に辛いアテの方が合うのだ。
ふと気がつくと、いつもに比べて瓶に残る量が少ない。残りは1合くらいか。なんとなく不満を並べているように見えて、実際にはいつもより飲み方がすすんでしまっているあたり、たぶん一人でじっくりというより、ワイワイとにぎやかに飲む酒ではないかと思う。
【データ】
純米酒「京千歳」
醸造元:松井酒造株式会社
製造年月:2009年4月
原材料名:米・米麹
原料米:五百万石
精米歩合:65%
アルコール分:14度以上15度未満
日本酒度:+4