京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
以前、松本酒造に横文字の銘柄のお酒ができたらしいという話を耳にして、気になっていた。蔵のサイトを見ると、それが「RISSIMO」だった。なんでも、イタリアンレストランのシェフと共同開発した、イタリア料理に負けない酸味をもつお酒なんだという。
確かに、たとえばパスタを食べながら日本酒を飲んだことは、考えたことも実際にも、たぶんないと思う。どんなお酒だろうと思って、蔵元のオンラインショップで買い求めてみた。
届いたお酒は、箱も含めると三重の包装だった。透明なビンはまず、トレーシングペーパーのような白い半透明の紙に包まれ、それが「紫外線を80%カットする特殊なフイルム」でできた透明な袋に入っていた。
袋のなかには、ビンのラベルと同じお米の形をしたリーフレットが入り、お酒の由来や合う料理のレシピなども紹介されていた。
それによると、RISSIMOは米の「Riso」と最上級の接尾語「issimo」を組み合わせたイタリア語系の造語で、「米の旨みがぎっしり」という意味合いなのだそうだ。
さて紙の包装をとると、お酒は明らかに黄緑っぽい。精米歩合は65%だから、区分としては純米酒になると思う。
香りもそんなに強くはない。口に含めば柔らかい感じだ。が、うーん、酸味が強いと言われても、いまいちよくわからない……。
この際、やはり何か食べながら飲みたいところだ。といっても、残念ながらイタリア料理はない。冷蔵庫をあさったら、夕飯の残りのゴーヤチャンプルを見つけた。わが家ではたぶんオリーブオイルを使っているはずだし、ま、これでもいいか……。
で、食べながら飲んでみた。つまり、ゴーヤチャンプルが口にある間に飲むわけ。お、負けてないやんか。ゴーヤの苦みもちょっとマイルドになるし、お酒の味もしっかり残って、どちらも旨い。なるほど、しっかりしたお酒なんだ。
このお酒は醸造年度を表記していくのだという。「2008」がそれだ。ビンの裏側にラベルが貼ってある。醸造年度は7月1日〜翌年6月30日までが区切りだそうだから、たぶん2008年産のお米を使ったお酒ということだろう。
今後は、使用米や仕込みも工夫されるという。次はぜひ、おいしいイタリア料理で飲みたいと思う。
【データ】
2008 RISSIMO
醸造元:松本酒造株式会社
製造年月:2010年6月
原材料名:米・米麹
精米歩合:65%
アルコール分:14度以上15度未満