京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
もちろん静かに入れたのだが、まるでドボドボと注いだビールのように、泡がコップいっぱいに立ちあがった。泡が静まるのを待って注ぎ足す。ビールに比べるとやや粗い泡だが、感覚はまさにビールを注ぐのと同じだった。そう思うとこのビンも、ラッパ飲みが似合いそうなビールビンに見えてくる。
残念ながらその荒々しい様子は写真に撮れなかった。撮っている間にもどんどん静まってきたから、ピークに比べるとずいぶんおとなしい。
先日の「奥の松」で見つけたもう一つのお酒が、この純米大吟醸のスパークリングだった。活性酒とかスパークリングと知ると、ついつい買ってしまう。
そういえばこのお酒、いわゆる「にごり」とは謳っていないなと思ったら、確かに「にごり」ではなかった。いわば「うすにごり」といった感じだ。
それゆえか、注いだあとのビンのなかで立ち上る小さな泡は、モリモリしている「にごり」に比べていまひとつ弱い。それでもビンの縁の泡はずいぶん長くキープされていた。
日本酒度「-25」とある。ものすごく甘いのではないかと思ったが、酸度が2.5と高いせいか、「やや甘」くらいでさほど気にならない。
香りも控え目で、飲めば炭酸の爽快感があり、しかもアルコール度数が11度と低めなので、クイクイと飲めてしまう。もうサイダー感覚。
改めて蔵元サイトをのぞくと、人気ランキング第1位がこのお酒だった。しかも僕が買った290mlビンはただいま品切れ。買えたのは幸運だったようだ。
むろん、290mlというのは2合にも満たず、いつものコップ3杯にも満たなかった。当然、あっという間になくなった。アテもいらなかった。やっぱり純米活性酒は文句なしだ。
しかも、この290mlが税込588円というから、人気なのもうなずける。ちなみに720mlは5,250円、1600mlは10,500円(いずれも税込)だから、290mlはかなりのお買い得らしい。
【データ】
純米大吟醸「奥の松」スパークリング
醸造元:奥の松酒造株式会社(福島県二本松市)
製造年月:2011年5月
原材料名:米・米麹
精米歩合:50%
アルコール分:11度
日本酒度:-25
酸度:2.5