京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
300ml瓶だし、活性酒だし、しかもアルコール度5%とビール並みだし……、というわけであらかじめ予想したが、「すず音(ね)」は10分余りでなくなってしまった。活性酒と見ると目がないものだから、先日の「一ノ蔵」でいっしょに買っていたのだった。
ネットで購入する際、商品解説をあちこち探したが、純米かどうかわからなかった。まあ、来ればわかるか、と思って購入したのだったが、はたして届いたお酒は純米だった。5%にアルコール添加もないかとも思うが、純米党の僕としては単純に、ちょっとうれしくなった。
十分に冷やしていたし、慎重に扱ったので、開栓しても吹き出るようなことはなかった。むしろ、今回もおとなしかった。オリをまぜるのに少し振ったくらいだ。
コップに注ぐとシュワーっと泡がふくらむ。最初はまさにビールのような泡のたち方だが、泡はやや粗い。
銘柄の「すず音」は、泡の音からきているらしいが、通常のままでは特に何も聞こえない。そこでコップの口を耳に近づけてみた。ピチピチ……、という音が聞こえてきた。
鈴というには少しイメージを膨らませる必要がありそうだったが、考えてみれば、音を聞いたのは初めてだったように思う。これまで、意識的に音を聞こうとしたことはなかったと思う。だから「おー」と声が出た。
飲んでみる。最初はいつものお酒と同じ感覚で飲みかけたが、やはり軽い感じ。ゴクゴクと飲んでさわやかだ。ビールと同じやもんな、と思うとますますゴクゴクいってしまった。早くなくなるのは当たり前だ。
で、さすがに日本酒度-70〜-90というのは甘い。口にも甘味が残るような感じ。もう少しアルコール度数も日本酒度も高い方がスッキリと飲めるかなとも思えた。
同封してあったチラシには、「すず音」を使った日本酒カクテルの紹介もあった。いわゆる日本酒的な飲み方ではなくて、もっと違った飲み方をするのがいいのかもしれない。
僕はそうしてしまったが、ビールのようにゴクゴク飲むものでもないように思える。シャンパン的に飲むなら、やはりもう少しドライであってほしい。
飲んだあとでそのカクテルのレシピを見ていると、なんとなく雰囲気と味のイメージが見えた気がした。でも、そのレシピを実現するお酒はもう残っていない。うーん、残念。
【データ】
一ノ蔵発泡清酒「すず音」
醸造元:株式会社一ノ蔵(宮城県大崎市)
製造年月:2011年2月(瓶内発酵のために瓶詰めした時期)
仕上年月:2011年5月(瓶内発酵及び貯蔵工程を経て商品として仕上げた時期)
原材料名:米・米麹
精米歩合:65%
アルコール分:5%
日本酒度:-70〜-90