京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
こまれで約2年をかけて、伏見のほぼすべての酒蔵をめぐってきた。
実は宝酒造だけ書けていないが、ここは「松竹梅」であり「純」であり「カンチューハイ」などでよく知られた大手。これまでの人生のどこかで必ずや飲んでいたはずだ。書きながら自然と純米吟醸がメインになってきているこのシリーズだが、Webサイトを見ても、気になるそれらはおおむね灘の蔵で醸されているらしい。
そんなわけで、ここについては機会があればふれることにして、次はさらに気になる伏見のお酒や京都府内のお酒へと話を広げていこうと思う。
このお酒は先日、油長さんで目にとまった。いまはもう幻とも言えるであろう銘柄「万長(万壽長命)」である。
聞けば、現在は「蒼空」として復活している藤岡酒造が一時廃業に追い込まれたとき、その銘柄だったこの「万長」最後のお酒を、どういう関係かは知らないが、豊澤本店が引き受けて貯蔵していたものだという。8年古酒らしい。
だからこのお酒、豊澤でも藤岡でもなく、蔵元は「万長」と思って書こうと思う。
ずいぶん久しぶりに飲む銘柄だ。『美味しんぼ』という漫画で純米酒を知った20年近く前、わが家の近所に各地の純米酒を扱っている酒屋を見つけ、よく買ったのがこの「花清水」だった。
この夏、仕事仲間といっしょに久し振りに油長さんの利き酒カウンターに座る機会があった。一升瓶で買ったら1万円くらいするお酒も、ここでなら猪口で数百円。この際だからと、実は最初から高いお酒を狙っていた。
黄桜である。「カッパッパー」である。メジャーである。
伏見の黄桜カッパカントリーは、取材も含めて何度か訪ねたことがある。しかし実は、黄桜のお酒をじっくり飲んだ記憶がない。カッパカントリーではむしろ、地ビールの方が印象に残っている。黄桜の「京都麦酒」は1995年、京都で初めて登場した地ビールなのだ。その地ビールカウンターの雰囲気がなかなかよかった。