記念の1本
禁煙をはじめて1週間を超えた。すげーではないか。
「1週間の記念に1本て、どうかなと……」
もうタバコをやめて8年というバーのマスターに話しかけた。
「ははは、10年やめててもその1本で元に戻った人が何人もいますよ」
「あ、やっぱり……」
とりあえず、記念喫煙は延期することにした。
で、なぜ1週間もったかを自分なりに考えてみた。二つほど要因が浮かんだ。
ひとつ。幸か不幸か以前から、僕はショートホープ以外のタバコを吸いたいと思わない。おかげで、他人が吸っていてもちっともうらやましくなかった。
もうひとつ。朝はじめて吸う1本がズシンと重いのを、あまり好きでなかった。しばらく吸わなかったからきっとズシンとくるやろな、と思うと吸うのを踏みとどまった。
いま、事務所にはいつものように灰皿が二つ出ているし、タバコも3箱、ライターとともに棚に置いてある。つまり、いつでも吸える状態。
視界からタバコ類を消し去るというのもよく聞くが、まだ捨てるのがもったいないと思っている。だからこの先禁煙が終わるのは、きっと何か考えごとでイライラして無意識に火をつけた時だろうな、と思う。
ノースモーキング8日間。