地蔵盆
昨日のこと。
「こんなところに観光客……?」
うちの近所のひなびた商店街で、小旗をもった、観光バスのガイドさんとおぼしき女性に案内された一団を見て、助手席の同乗者がつぶやいた。
「あ、ここな、六地蔵のひとつやねん。昔、都のまわりに配置されたっていうやつで、
六地蔵めぐりのときには賑わうねんで、ここ」
「へ〜え」
普段はひっそりとしているが、そのお寺・源光寺は六地蔵のひとつ「常盤地蔵」として有名だ。
もっとも僕は、近所に20年近く住みながら、六地蔵めぐりはもちろん、そのお寺に行ったことさえない。夜に提灯をめぐらして賑わう六地蔵めぐり当日の様子も、たまたま通りかかって見たことがあった程度だ。
それでも、若い同乗者に多少の説明ができたのは、数年前に同じく六地蔵のひとつ「鳥羽地蔵」のあるお寺を取材したことがあったからだった。
が、昨日の夕刊を見て僕は愕然とした。昨日と今日、つまり8月22日と23日がまさに「六地蔵めぐり」の当日だったのだ。そういや今日は地蔵盆ではないか。
そんなことにも気づかずに、知った顔で説明していたのだった。
はは、はははは……。