取材に活躍したインターネット
ここ1か月ほど、知り合いのライターと二人がかりで京都の神社仏閣を中心に約120軒ほど取材にまわった。20年近く京都に住んでいても、ほとんど観光地にでかけないので発見したことも多く、日程的にはキツかったが、それはそれで勉強にもなりおもしろかった。
その取材で実に役に立ったのがインターネットのホームページだった。このごろは自らホームページを開いている寺社も少なくないし、観光ガイド的にもページにも情報が多い。また個人のページでも旅行記やエッセー、写真その他、さまざまな形で情報が提供されている。事前に目を通しておくと、現地に行ったときに大いに参考になった。むろん、明らかな誤植などもあるからこれらのページだけを鵜呑みにするのは問題で、必ず現地での取材をしなければいけないのは言うまでもない。
あるお寺の取材でのこと。小さなお寺だったので、自前のページはなかったが、個人のページで紹介されているものがあった。お地蔵さんの写真があり「子供地蔵」と紹介してある。写真も掲載してあり、確かに「子供……」とある。ちょっと記憶にとどめて取材へ。
現地で「子供地蔵というのがあるそうですが」と尋ねたら、少しけげんな顔をされ、「ああ、水子の。それでしたら」と教えていただいた。その時は別段なにも感じることなく、またメインの取材対象でもなかったが、とりあえずと撮影した。
写真ができて何気なくながめていると、そのお地蔵さんの下の石には「水子供養地蔵」と刻んであった。ちょうど「水」の字が、供えてある花に隠れて見えにくいが、紛れもなく「水子供養」。なるほどそれで「子供地蔵」と読み間違えたんだな、そして現地でけげんな顔をされたのかと、思わず笑ってしまった。
実に役立ったのは、シビルネットワークという土木分野に関するページに含まれている行者橋と呼ばれる小さな橋を紹介したページ。これ、叡山の修行僧が回峰行の修行で渡る橋だそうで、知恩院近くの白川にかかる、切石をわたした実に簡単な橋。もちろん橋の名などどこにも書かれてない。そのページを見つけなかったら、行者橋を探し当てることができなかったのは確実で、その説明も含め、この間の取材で僕とって第1級の価値あるページだった。
大いに勉強になったのは、京都国立博物館のページ。ちょうど取材対象先が過去の特別展のページに含まれていた。簡潔な説明ではあったがさすがに奥が深い感じで、しかも信憑性が高く、ずいぶんと助かった。
そんなわけでたくさんのホームページのお世話になった今回の取材、居ながらにしてさまざまな情報が得られるのには隔世の感があるものだ、と改めて思った次第。
(記/1999.10.22)
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