「蒼空(そうくう)」というのは初めて飲む銘柄だった。このページのために蔵元のサイトを探そうと伏見酒造組合のサイトを見ても、蔵元リンクには含まれていなかった。えっ? なんで……?
そこでWeb検索で情報を探ってみると、次のようなことがわかった。
「蒼空」の蔵元の藤岡酒造は、もとは「万長(万寿長命)」の銘柄で知られた蔵だという。確かに「万長」といえば、9年間通った保育園のある妙心寺の北門近くに「万長酒場」という看板を出した店があったので、よく覚えている。ところが阪神大震災と先代の急死により1995(平成7)年を最後に酒造業をやめていたそうだ。それを、若き四代目が2002(平成14)年に復活させたのだという(詳しくはこちら)。
さて、手元にあるのは「蒼空」の「2003年度仕込み3号」。透明の500ミリリットル瓶にやや黄みがかった酒が入っている。聞くところによると酒造りの年度は10月に始まり9月に終わるそうだが、実際にこの仕込みは今年の1月以降のようで、ようするに「2003年産の米を使って仕込んだ3番目の樽の酒」ということらしい。生酒で9月の蔵出しだから「ひやおろし」になると思う。
栓はコルク。その封印紙の表に「二〇〇三年度 仕込み三号」、裏には「よい酒は必ずや天に通じ 人に通じる」と書かれている。ラベルは布。藍染めに銀の箔押しをした手作りだという。
封印を切り、コルクなのでソムリエナイフで開けようかと思ったが、その必要もなく手で簡単に抜けた。
撮影用にかなりなみなみとついだので口からお迎え。が、予想に反してあまり香りを感じない。油長さんのメールマガジンによれば、協会14号酵母らしい。これって香り抑えめなんやろか。
もっとも、じっくり嗅げばもちろん香りを感じる。どこかのおばさまたちの厚化粧に似ず、やたらと香りをプンプンまき散らさらないのは好感を感じるところだ。
口に含むと、なんというか、舌にまとわりつくような感覚。大吟醸のまったり感にも似たところだ。ラベルの精米歩合を見ると55%、大吟醸に近い吟醸というところか。そしてこのラベル、数値はみなボールペンで手書きされていた。
それにしても、500ミリリットルって計算したら3合に満たない。これを書きながら、アテもないのに、気がついたら瓶が空になっていた……。
(記/2004.10.9)
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