取材で伏見に行くことがあったので、ついでに大手筋商店街に油長さんを訪ねた。同店サイトで「『伏見の酒』は甘くない」とのキャッチがついた「慶長 伏見の酒」が気になっていて、買い求めたかったからだ。
実は、さんざんネット通販で購入しているので、「いつもお世話になってます」などとひとことくらいは声をかけようかと思っていた。しかし、かつての取材で何度か顔を合わせた若社長は姿が見えず、どうやら身重の奥さんと孫を抱いたおばあちゃんが店番だった。実際に発送などの段取りをしてくださっているのはこの若奥さんではないか、などと思いつつ、結局声をかけそこねてしまった。
そんなにシャイでよくライター仕事なんか続けていられるよな、と自分でも笑えてくる。
さて、その「甘くない」酒の栓を開けた。純米大吟醸だから、それだけでもかなりの吟醸香が漂うのかと思ったが、それほどでもない。口に含むと、大吟醸でよく感じるまったり感はないが、かといって「辛い!」と驚くほどでもない。むしろ口あたりはどちらかといえば甘みが勝っている印象だ。
しかし、ゴクンと飲み下すと、喉ごしにはドライ感がある。お、なるほどこういう辛口か、といったところ。たぶん、飲むにつれて口に辛くなるのではないかと思っていたら、まさにその通りで、だんだん辛口感が勝ってきた。
ただ「非常に辛い」というほどでもないから、キャッチの「甘くない」という表現は、かなり実態に近い適切なものではないかと思う。
もっとも「甘くない」と言われると辛口を予想するわけで、それが予想したほどでもなかったら辛くても甘く感じたりする。甘辛の感覚は人それぞれだと思うから、どう告知するかは非常に難しいところだろうと思う。
なお余計なことだが、今回の写真を見て、コップ酒の写真に自分が写り込んでいるのに気がついた。お酒の部分の右上から中程下にかけて少し影になってる部分だ。かなり接写しているのであり得る現象だと思うが、だからこれは心霊写真の類ではない。
(記/2005.2.9)
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