[京のお酒エッセー 2005.4]

小国文男
京のお酒エッセー

純米大吟醸「伏見港」(山本勘蔵商店)

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【データ】
純米大吟醸「伏見港」
醸造元:株式会社山本勘蔵商店
製造年月:2005年3月
原材料名:米・米麹
原料米:祝
精米歩合:45%
日本酒度:+4
アルコール分:15度以上16度未満

 ずいぶん長い間僕は、京都の伏見でなんで「港」やねん、という印象をもっていたように思う。日本海側で生まれ育ったせいか「港」というのは海にあるものだと思っていたから、海のない京都で「港」というのが不思議だったのだ。

 むろんのちに、伏見が水運の拠点だったことを知るのだが、どこかにそんな潜在意識が残っていたからなのか、油長さんの利き酒カウンターに座って人気銘柄の黒板を見たなかにいつも入っていたこの「伏見港」を、ついぞ頼んだことがなかった。
 だから今回が「伏見港」の初体験なのだ。このお酒、伏見港海港400年を記念して1994年に発売されたものらしい。奇しくもそれは、僕がMacを買っていまの仕事を本格的に始めた年だった。

 さて、栓を開けようとしてオヤッと思った。封緘紙に蔵元の山本勘蔵商店と並んで「発売元 株式会社油長」とあったからだ。小売りの酒屋さんが発売元になっているというのはあまり聞いたことがないと思って改めて油長さんのサイトをのぞくと、どうやらこの店の限定商品らしい。な〜るほど。

 その封緘紙をやぶって栓を開け、コップに注ぐ。口元までもってくると鼻腔をくすぐる吟醸香に、思わずムフフフ……と笑みがこぼれてしまう。
 透明ではない。ほんのり黄みがかっている。口に含むと、なんというかスッキリ感。純米大吟醸ということで予想するほど甘くない。むしろ辛口。
 酒のラベルなどには日本酒度など細かい点の記載はないのだが、これまた改めて油長さんのサイトで見ると「+4」だという。なるほどの数値だ。二口か三口目くらいから、アテに手が伸びていた。
 なんちゅうか、しばらくぶりで、酒もすすむしアテもすすむワ。アッハッハ……。

(記/2005.4.10)

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