とにかく、純米酒で日本酒度が「+6〜7」というのは珍しいらしい。実際、このシリーズで飲んでいるのもだいたい「+3」とか「+4」あたりだから、確かに高い。ついでに酸度も、これまで飲んだなかでは一番高い部類だ。つまり「極辛」は数値的にも裏付けられている。だから、どんなに辛いのだろうかとワクワクしながら栓を開けた。
このところ純米吟醸、純米大吟醸ばかり飲んでいたから、久し振りのただの純米だ。当然だが、いわゆる吟醸香というのではないし、プンプン香るわけでもない。が、そのなかに、かすかに覚えのあるような香りがする気がした。
ほんの少し、ちょっと鼻にツン……。えっ、これって……、醸造アルコール? いや、それはないでしょ、純米なのだから。ということは、僕が勝手に醸造アルコールではないかと思っていた香りは、実はそうではなかった、ということなのかもしれない。では何? 辛口のお酒の香り?
考えてみたら、そもそも醸造アルコールはどんな香りがするのか、それ自体を知らない。それでいて醸造アルコールをとやかく言うのはアンフェアではないか、という気がしてきた。機会があれば、どこかでそのものを試してみたいと思う。
さてその「極辛」だが、僕的にはどこが「極」やねん、というのが正直な感想だ。ひとことで言えば、まろやかで飲みやすい酒なのだ。
以前も書いたことだが、先入観として「極辛」というネーミングがあるし、冒頭に書いたように数値的にも辛いことがわかっているから、やっぱりかなり身構えて飲んでしまう。そのおかげで、思ったよりは辛くないやんか、ということになるのだと思う。ならばこのネーミングはちょっと損なのではなかろうか。
とはいえ、いまコップに3杯目。さすがに、次第に辛くなってきた。今日のアテはピスタチオなんやけど、けっこう合っている。どうやらこれからが、この酒の本領発揮のようだ。
(記/2005.4.15)
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