黄桜である。「カッパッパー」である。メジャーである。
伏見の黄桜カッパカントリーは、取材も含めて何度か訪ねたことがある。しかし実は、黄桜のお酒をじっくり飲んだ記憶がない。カッパカントリーではむしろ、地ビールの方が印象に残っている。黄桜の「京都麦酒」は1995年、京都で初めて登場した地ビールなのだ。その地ビールカウンターの雰囲気がなかなかよかった。
今回、黄桜の純米吟醸を入手した。僕的には余計な金箔入りだが、どうやら銘柄の「太閤秀吉」にちなんでいるらしい。京都地区限定だという。まあいい。
というか、油長さんのネット販売で、それしか見あたらなかった。蔵元のサイトを見ても、製品ラインナップに純米吟醸も大吟醸もあるけれど、純米大吟醸は見あたらない。とはいえ「究極の黄桜」などかなり力の入った大吟醸と思われる。味を調えるためにあえて純米にしないで醸造アルコールを使っているのだろうか。
だからこれは、数少ない黄桜の純米吟醸の一つということになるが、実は正直なところあまり期待しなかった。栓を開け、コップに注いで鼻を近づけると、やや甘い香り。甘口か、と思って口をつけたが、さほどでもない。しばらく飲むと辛口っぽくもなってくる。どないやねん、である。
ラベルの解説を見ると日本酒度が「+1」だ。これだけだとほとんどナチュラルで、相対的には甘口に近いから、なんや、第一印象は正解やんか。
しかし、そうでもないと感じたのも間違いではなくて、酸度が比較的高いので辛く感じるようだ。改めてラベルの解説を見ると、なんと端麗辛口に分類されている。
こうなると、もうなんちゅうか、データの意味はよくわからない。で、自分の勝手な感覚基準で言えば、アテいらずで飲めている。そういう場合の僕的分類は甘口系なのだ。
しかしふと、先日ビールを飲んだ際にアテにしたピーナッツが残っていることに気づいた。で、それを食べながら飲むと、これまたけっこういける。そして、口のなかがだんだん辛くなってきた。
ん? これって何?
もしかして、甘口にもなるし辛口にもなる?
これまで飲んできた京都のお酒でも、一口目の印象と、しばらく飲んだあとの印象が違うことがよくあった。全般に、最初の甘い口あたりが、飲むにつれて辛くなってくるのだ。
黄桜も、僕が思った以上に奥深いのかもしれない。
(記/2005.6.21)
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