[京のお酒エッセー 2005.8]

小国文男
京のお酒エッセー

「豊祝」純米大吟醸(豊澤本店)

写真
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【データ】
「豊祝」純米大吟醸
醸造元:株式会社豊澤本店
製造年月:2005年8月
原材料名:米・米麹
材料米:祝100%
精米歩合:50%
アルコール分:15度以上16度未満
日本酒度:+4.0
酸度:1.4

 このお酒は蔵元から直接取り寄せた。ネットで直接販売しているのはありがたい。いつも購入する油長さんには同じ蔵の「蔵纏(くらまとい)」という銘柄があるのだが、ちょいと高いので後日の楽しみとして、まずはこちらにしたわけだ。
 やってきた「豊祝(ほうしゅく)」は、マリンブルーというのか青々とした瓶だった。光線の加減もあるのだろうが、飲んで中味が少なくなるにつれて透明感が増し、写真よりも少しマゼンダ寄りの紫に近いブルーになってくる。おかげで瓶だけでもけっこう楽しめてしまった。

 コップに注いでみた。最初は無色透明かと思ったが、よく見たら淡く黄みがかっている。もっと芳醇な香りがプンプンするのかと思ったが、意外にもそれはほとんどしない。とにかく自分で表現できないのがくやしいのだが、ずいぶん前に飛騨で飲んだ地酒と共通するような香りが鼻をかすめたような気がした。
 こんな書き方では本人以外にはさっぱりわからないが、ようするにスッキリ辛口といったところだ。

 ところでこの蔵元のサイトで、醸造アルコールに関する興味深いコラムをみつけた。それによると、醸造アルコールとはようするに、サトウキビなどを材料とした焼酎なのだという。醸造アルコールに対して長く薬品的イメージをもっていた僕には、ちょっとした驚きだった。知人に話しても同じ反応が返ってきた。
 お酒とお酒をまぜるのは、カクテルをはじめ世界中で行われている。それは文化だ。味を調える目的ならば、このコラム氏が言うように「頭から否定せずに」「発想の転換」をというのは、わりとすんなりと受け止めることができる。

 ただ現実問題として、醸造アルコールの有無で飲んだ翌日の残り方が違い、同じ量だとやっぱり純米の方が楽なような気がする。
 もちろんいま飲んでいるのは純米大吟醸だから、朝はスッキリのはずなのだが……。

(記/2005.8.10)

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