[京のお酒エッセー 2007.1]

小国文男
京のお酒エッセー

純米吟醸原酒「招徳竹の皮包み」(招徳酒造・伏見)

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【データ】
純米吟醸原酒「招徳竹の皮包み」
醸造元:招徳酒造株式会社
製造年月:表示なし
原材料名:米・米麹
精米歩合:60%
日本酒度:+3.5
アルコール分:17度以上18度未満

 1月も油長さんの企画の酒蔵見学で招徳酒造を訪ねたが、その時の利き酒会で口にしたこのお酒が気になったので、あらためて買い求めてみた。

 竹の皮に包まれている。どう見ても本物の竹皮だし、どう考えても手作業だ。パリパリに乾いているのが年月を感じさせる。
 実は、注ぎにくいかと思ってこの竹皮を外してしまった。ネットで少し検索してみると、竹の皮は光を完全に遮断するので保存によいらしい。注ぐには口の方を少し切ればよいとわかって、再びとりつけた。いつものをつけたら、切らなくてもいけそうだ。

 ラベルには「生一本」とあって、瓶には「口上書」なるものがついている。「生一本」とは純米醸造で加水しないお酒だとある。以前はテレビのコマーシャルでよく聞いた気がするが、僕はこのごろあまり耳にしないので、ちょっと懐かしい。
 さてコップに注ぐ。蔵見学でも「色がついているのはいいことです」と教わったが、淡い琥珀色だ。香りが少しこぼれ出る。
 口に含むとやや濃い感じ。原酒なのでアルコール度も少し高いが、それだけでもない感じがする。水が加わるとアルコール度だけでなく、口あたりも薄まるのだろう。
 甘辛という点では明らかに辛口だ。しかし喉に落としたあとの残り香に旨みも感じる。

 辛口といえば、いつもやっているのがポールウインナー合わせ。冷蔵庫から出してきて、一口かじってお酒を口に。合う。お酒もポールウインナーもマイルドになってより旨い。
 こういう飲み方は僕もわりと最近するようになったことだが、あるとき知り合いのスナックでそんな話をしたら驚かれた。曰く「口に何かある時に飲むなんてしたことないし、しようとも思わへん」。まあ確かに、ピーナッツをかじりながらウイスキーの水割りを飲むなんていうのも、味気ない気がする。
 こういう飲み方ができるのは、日本酒やワインなど醸造酒ゆえなのかもしれない。

(記/2007.1.27)

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