[えでぃっとはうすのときど記]

モカチュー

 焼酎の一升瓶の半分近くまで、コーヒー豆がそのまま入っている。マスターがそれを、氷の入ったグラスに注ぐ。見た目はウイスキーのようだが、水割りよりは色が少し濃い。
「これ、なかなかいけますよ」
 すすめられて飲んでみた。うん、確かにコーヒー味の焼酎だ。
「スッキリしてますね」
「でしょ。いろいろ試したんよ」
「水出しコーヒーみたいなもんやな」
 常連とおぼしきお客さんも言う。

「コーヒーは何ですの?」
「モカ。モカ以外はダメ」
「モカ好きですねん。どれくらい入れるんすか?」
「だいたい。ここには200g入ってる」
「焼酎は芋?」
「麦。芋だとうまくいかない」
「量は豆が浸るくらい?」
「いや、いっぱい入れてる」

 マスターは、少なくなったら焼酎を注ぎ足して、すぐまたグラスに注いでいたが、別に味が薄くなったような感じはなかった。帰るまでずっとそれを飲んでいた。
「モカの焼酎やし、モカチューやねえ」
「なんやピカチューみたいやな」
「まあ、よろしやん」
 と、勝手に名前をつけて帰ってきた。

(記:2003/11/16)



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