[えでぃっとはうすのときど記]

神泉苑

 地図を描いていて、目印に神社仏閣を入れることがよくあるが、ときどき神社か寺院かよくわからないケースがある。たいがいは「○○神社」とか「○○宮」とかあれば神社だし「○○寺」「○○院」とくれば寺院だろうが、僕がいつも困っていたのは「神泉苑」だった。

 神泉苑は、京都の二条城の南にある。聞くところによると、はるか昔の京都は湖底であって、その水が干上がって盆地になったのだそうだ。そのなかで、最後まで残った水たまりが神泉苑の池なのだという。昔の人はその池を活かして庭園にしてしまったのだそうだ。

 僕はここを訪ねたことがない。近くを通って垣間見るくらいだが、一見すると神社のような雰囲気にも見える。けれども何の確信もないので、地図上でも鳥居マークや卍マークをつけずに単に「神泉苑」とだけ表記して逃げたことがよくあった。少なくとも間違いではないはずだ。

 先日も地図上に「神泉苑」を書き込む必要があった。いよいよどっちだろうと思って、近くを通った時に改めて見てみたら鳥居があった。やっぱり神社やったんや、と思って地図に鳥居マークをつけた。それをこの前出稿してホッとしたところだった。
 ところが先日、新聞を読んでいたらこの「神泉苑」の話が出ていた。そのなかに、ここは寺院だと書いてある。なんでも空海の雨乞いつながりとかで、東寺と関係するらしい。

 えっ……! である。

 寺院なら鳥居マークは明らかに間違いだ。あわてて確認しようと、神泉苑の公式ホームページにアクセスしてみた。挨拶するのは「住職」で、「寺務所」なんてのも見える。ありゃま、ハッキリと寺院ではないか。お寺の境内にお宮さんがあるのはよくあることで、僕が見たのはどうやらその鳥居だったようだ。
 不覚だった。なぜ最初からここにアクセスしなかったのか。印刷にまわるかどうかの瀬戸際くらいだろうと思ってとにかく訂正を連絡したが、間に合ったかどうか……。

 そんなわけで、神泉苑に鳥居マークがついた地図に出合ったら、それはもしかしたら僕が書いたものかもしれない。

(記:2005/04/27)



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