[えでぃっとはうすのときど記]

廿日市とイツカイチ

 昨日は広島県廿日市市に、日帰り取材に出かけた。京都からざっと400キロ。取材でこれくらい遠出するのは初めてなので、ちょっとウキウキしていた。

 廿日市市は広島市の西隣で、広島で新幹線から山陽線に乗り換えてしばらくだという。広島駅で岩国行き(だったと思う)電車に乗ると、すぐに車内アナウンスで停車駅などの案内があった。
「いま、イツカイチって言わへんかった?」
 同行者が言う。
「うん、そう聞こえたなあ」
「廿日市って書いてイツカイチって読むの?」
「さあ……」
「発音の違いやろか……」

 いくつか目の駅に着いた。
「やっぱりイツカイチなんやわ。ほらあれ……」
 見ると駅名看板に次の駅の表示があって、そこに「Itsukaich」と書いてある。
「ほんまやなあ、へぇ〜」
 地名というもの、時に信じられない読み方をするケースは少なくない。僕の田舎でも「間人」と書いて「タイザ」と読むところがある。だから僕も、同行者の言葉をちっとも疑わなかった。
「お、それってネタになるなあ。降りた時に看板の写真を撮って、ときど記で使おう」
 僕はリュックからごそごそとカメラを取り出した。ほどなく駅が近づいて、僕らは席を立った。

「あーっ、五日市やん!」
「……!」
 ドアが開いていまにも降りようとした僕らの前に飛び込んできたその駅の駅名看板には、大きく「五日市」と書いてあった。そして次の駅が「Hatsukaich」とある。
「廿日市は次やん!」
 ドタバタとあわてて席に戻る。
「よう気づいたなあ!」
 こんな僕らはその瞬間、まわりの乗客の道化師だったに違いない。

 写真は、帰りに少し時間があったので足を伸ばした宮島・厳島神社の鳥居。

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(記:2005/08/28)



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