[えでぃっとはうすのときど記]

一澤帆布のカバン

 報道によれば、布製カバンで知られる一澤帆布が休業状態になったという。なんでも、亡くなった先代会長の遺言をめぐってもめたらしい。
 実はここには6、7年前、取材に寄せていただいたことがあった。以来、使ってはいないものの、ここのカバンはちょっとしたあこがれだった。

 店の2階の工房の隅で、三脚を立ててカバンの撮影をしていたら、チェックのシャツにベレー帽だったか、ちょっと洒落た姿のお年寄りがひょうひょうとやってきて、何だか興味深げにニヤッとされた。おそらく「先代会長」だったのだと思う。
 このころ、取材で撮影する写真をよく失敗していた。特にストロボ撮影が難しくて、部屋は明るいのに仕上がった写真は真っ暗だったなど、さんざんだった。そんななか、ここで撮ったカバンの写真は、当時の僕のなかでは数少ない比較的ましなものだった。

 ところが、掲載意図の誤解もあって、ここの取材はキャンセルになった。僕はかまわなかったのだが、「せっかく来てくれたのに」と社長さんと奥さんは気の毒げだった。ならばと、僕のWebページで店のことをネタにしてもよい、という了解をいただいた。
 もっとも、断られた話というのもなんだか気乗りがせず、結局ネタにはしなかった。

 そんなわけで、記事を読んだときにそのときの会長さんの姿と撮影した写真が思い出され、ちょっとした感慨を覚えた次第だ。下がその写真。

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4/8追記
このほど新しく「一澤信三郎帆布」が開店した模様です。

(記:2006/03/07)



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