[えでぃっとはうすのときど記]

松本酒造の見学に行く

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「これが仕込んで1週間目くらいのものです」
 案内の常務さんが説明する。仕込みタンクは白い泡で満たされ、あふれんばかりだ。発酵の様子は何度か見たことがあるが、こんなに泡だらけになっているのに出合うのは初めてのように思う。ちょっと驚いた。タンクの口の真ん中で、泡消し用という棒がクルクルと回っていた。

 先月に続く油長さんの酒蔵見学企画で、今月は松本酒造だった。「日出盛」や「桃の滴」の蔵元だ。この蔵の八角形の煉瓦の煙突と木造の酒蔵は、伏見の風景としてもよく知られている。だから、機会があれば一度行きたいと思っていた。
 それと実は何年か前、取材を問い合わせたものの、テーマに該当しないとわかって断念したことがある。そのテーマが「見学できる蔵」で、つまり一般の見学は受け入れていないということだったのだ(実際、伏見で見学できる蔵は少ない)。そこが見学できるのは油長さんならではか、と少し感慨があった。
 そういうわけで、腰痛はまだ続いているが、これもリハビリと思って出かけた。やはり人気があるのか参加者も多かった。

 その木造の蔵の入り口には「土足厳禁」とある。スリッパかなと思っていたら長靴だった。そしていきなり、ちょうど絞っていた「日出盛」のたれくちをいただく。久し振りのたれくちはやっぱり旨い。
 そして仕込みタンクが並ぶ奥に案内された。12度に温度管理されているという。足場に上がって仕込みタンクを見せていただく。年期の入った柱や梁が身近にせまり、あの蔵の中にいるのだと実感する。そこで満杯の泡を見たのだった。

 来月は北川本家の予定。差し支えがない限り、また出かけてみたいと思っている。

(記:2006/11/18)



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