酒米をかじる
このごろ毎月参加している油長さん企画の酒蔵見学だが、今月は招徳酒造に行ってきた。銘柄はいくつか飲んでいるが、蔵を訪ねるのは初めてだった。
蔵ごとに、自分なりのトピックがある。 「これが『祝』です」 僕の人生より長く酒づくりに携わっているという案内人さんが、米袋から出した米を手に乗せて差し出す。直径2〜3ミリにまで削られた小さな米つぶだ。60%精米というから吟醸酒用。 そのいくつかをつまんだ。これまで見ることはあってもさわることはなかったから、初体験。せっかくなので食べてみた。硬いと思ったら意外にもろくて、少し噛んだら口の中で簡単につぶれた。そして、しばらく噛んでいると旨くなってくる。
歩きながら、たまたま油長のご主人と並んだ。 「意外に柔らかいというか、もろいですね」 「あ、そうですか。中心のでんぷん質の部分だからでしょうね」 「けっこういけますよ」 「口の中で糖化されるんですね」 なるほど……。
あとで案内人さんの説明を聞くと、米を出した意図は別のところにあったようだが、まあいいや。酒づくりのベーシックな話から、利き酒の仕方まで手本を示して教えていただいた。今回も勉強になった見学だった。
|