国税局に「リョウチョウ」と呼ばれる部門があるという。資料調査課、略して料調。文字面だけ読んで、何か資料を整理しているようなところと思ったら大間違い。本来強制調査をするところではないのに、いわゆる「マルサ」、つまり査察部まがいの強引な「がさ入れ」をするところから、世間では「ミニ査察」などと呼ばれているらしい。身に覚えがあればコワ〜イところだ。
その「リョウチョウ」に、家の中をぐちゃぐちゃにされての無茶苦茶な「調査」を受け、あげくに青色申告を取り消されて更正処分までされながら、「そんなアホなことがあるか」と果敢に裁判に立ち上がり、8年の歳月をかけて勝利してすべての処分を取り消させた男がいる。司法が「リョウチョウ」を裁いたのは、おそらくこれが全国で初めてだという。
本書は、この「事件」の発端から勝訴までの一部始終をドキュメンタリーチックなルポで綴るほか、弁護士が法的解説を加えている。
私は今回、このルポの執筆協力をさせていただいた。別に準備されている全記録・資料はB5判で1000ページ近くに及ぶ膨大なもの。それに比べればささやかなものだが、久しぶりにまとまった量の原稿を書いた1冊。本文のDTP組版も。
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