[QuarkXPress奮戦記 vol.22]

「標準emスペース」の話(1)

 それを知った時、私はむちゃくちゃショックだった。なんでこれまであんなに苦労してたんだろうと思ってしまった。
 それは「標準em(エム)スペース」のこと。環境設定の「文字」で「標準emスペース」のチェックを入れるか入れないかで、作業効率がずいぶん違うのだった。バージョン3.3Jで追加された機能だが、4.0Jが発売されている今まで気がつかなかったのだ。まさに「不覚」だった。

■とまどうトラッキングやカーニングの数値

サンプル

 そもそもの事の起こりはトラッキングやカーニングの数値のことだ。これは「emスペース」を200分の1単位で調整するもので、だから「200」が1文字分に相当することは知っていた。半角空けたければ「100」だし、四分空きなら「50」、半角詰めたければ「-100」といった具合だ。
 明朝系のフォントなら、ほぼこの通りになった。ところが、フォントによって同じようにならないことにいつもぶつかって、その都度目測で数値を設定していたものだ。
 とりわけ、いわゆる「均等割付」が必要となる場面では苦労する。決算書の勘定科目などはその代表例で、右のサンプルがそのケース。「消耗品費」と「交際費」の両端は、明朝では合っているが、ゴシック系になるとずれていく。私はいつもこれで悩まされていたのだ。

 このずれの原因は「emスペース」の定義によるものらしい。「em」とは大文字の「M」の幅を基準にしたものでほぼ全角、ついでに「en(エヌ)」は大文字「N」の幅を基準にしたものでほぼ半角、と私は理解していた。もちろんこれは、フォントによって違う。
 だから、1em=トラッキング・カーニング値200、という理解が正しくてもフォントによって差が出て、それがずれの原因で、これは仕方がないものだとずっと思っていたのだ。
 別の意図でこの奮戦記を書こうとして見た環境設定画面で、ふと「標準emスペース」が気になった。私はチェックしていなかった。これって何だったっけ、と思ってマニュアルを見ると、3.3Jの新機能。そこには次のように書いてあったのだ。

追記)「em」「en」の定義について「em」とは「m」の幅、「en」とは「n」の幅を基準にしたものと書いていたところ、それぞれ小文字の「m」「n」ではなくて大文字の「M」「N」だとの指摘をいただいた。指摘の通り大文字が正しいので訂正した。ご指摘いただいたかねみつ様に感謝します。(99.4.14)


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