[ひとりごと(1998.7.1)]

QuarkXPressはもともと高かった?

―ドルベースで比較したら円安が身近になった―

 QuarkXPress4.0日本語版の高値について、やっぱりひとことくらいはQuark社に文句を言っておこうと思い、先日「値下げして!」と手紙を書いてみた。相手はアメリカのQuark本社。もちろん日本語で書いたので、いとこに頼んで英語に翻訳してもらった。
 それができたので、出す前に英語で読んでいたところ(ウソ。元の日本語を書いたからなんとなくわかっただけ)、僕はちょっと固まってしまった。当然だが、相手がアメリカなので金額はドルベースの表示になる。僕が日本語で298,000円と書いた4.0日本語版の価格は、「over $2000(\298000)」と訳されていた。この$2000がとてもに気になったのだ。
 つまりドルベースで見ると、4年前のバージョン3.3Jのときはどうだったのかということだ。おそらく円高だったハズだから、ひょっとしたらそれほど変わらないのではないか……。多少は為替レートを考慮していたつもりだったが、改めて確認してみようと思った。

 で、為替相場の推移のデータがどこかにないかとネットで探したら、やっぱり何でもあるもので、まさに探していたものが見つかった。それがこの日本円〜US$相場のグラフだ。
 QuarkXPress3.3日本語版の登場は94年の後半で、調べてみたら僕も同年12月にバージョンアップをしていた。この時期は円高で、グラフを見れば94年の下半期はだいたい1ドル=100円程度で推移している。その後95年の上半期に1ドル=80円台の最高値を記録し、95年の秋以降、デコボコはありつつも円安の道をたどっている。そしてつい先日の98年6月、1ドル=142円だったか、とにかく近年で最安値を記録したと報道されていた。

 QuarkXPress3.3日本語版は、PPC版がオープンプライスだが68K版は定価180,000円とされている。発表当時も同じだったと記憶しているから、値段は当初から変わらないようだ。当時の為替レートから、これはドルベースで約$1800と推定される。PPC版はもう少し高いだろう。円安が進むなかで当初の価格を維持していた姿勢は評価されるべきかもしれない。
 298,000円とされているQuarkXPress4.0日本語版は、価格が発表された今年の5月頃がだいたい1ドル=135円程度と思われるので(グラフより)、それで換算すると約$2200となる。単純に考えれば、2割前後のアップということになる。ちなみに1ドル=140円なら約$2130だ。
 また、Quark本社のWebページによれば、日本語版以外の11言語をサポートしているQuarkXPress Passport 4.0は$1895だ。日本語版へのローカライズを考えると、日本語版がこれより高いのは当然だろう(英語版はアメリカ限定で$995だが、前回価格を考えれば比較対象はPassportとするのが妥当だと思う)。
 つまり、日本円では3.3Jと比べて製品版で約1.6倍、バージョンアップで1.8倍となるのでとても高いと受けとめるのだが、ドルベースで考えるとそれほどでもないわけだ。  

 僕は、日本語で書いた手紙で、4年ぶりのバージョンアップでもあり、仮に多額の開発費用がかかったとしても、それを高価格で回収するより薄利多売で回収すべきで、その方がきっと売れるし、だから値下げした方がお互いに得だよ、と書いていた。しかしこれは、まったく噛み合わない論点だ。Quark本社にしてみれば、「この日本人は何を怒っているんだ?」ということになる。
 もちろん、開発費用がかかっているのはあるだろう。しかしそれが高値のすべての要因ではなく、為替レートの変動も一役かっているわけだ。まさに4年前と現在では、1ドルの価値が1.5倍近くになるのだから。

 ついでだから、adobeのページをのぞいてみた。Photoshop5.0は$995で日本語版は155,000円、Illustorator7.0.1は$595で日本語版が120,000円となっていた。
 日米の価格を比較すると、仮に1ドル=135円として、Photoshop5.0日本語版が約115%、Illustorator7.0.1日本語版は約149%となる。QuarkXPress Passportに対する日本語版は約116%だから、どうやらQuarkXPressの日本語ローカライズが特別高いわけでもなさそうだ。

 僕は手紙で、いわゆる「高級品ソフト」にしないで、とも書いていたが、それも何の意味もないように思えてしまった。QuarkXPressは今回のバージョンアップで急に高くなったわけではなく、もともと高級品だったのだ。前回のバージョンアップ時が円高だったから、たまたま比較的安く(といっても高かった!)手に入れることができたということだけなのか。もっとも、バージョンアップについては、前回に比べて為替レートの変動幅を大幅に超えているから疑問は残るが……。
 しかしこうなると、今回のQuarkXPressの高価格に対する不満はどこにぶつけたらいいのだろう? 少なくとも、Quark社に文句を言うなら論点を変えねばならない、と思っているところだ。

 いずれにせよ、海外旅行もしたことがないし、あまり縁がないと思っていた為替レートの世界を、こんなに身近に感じたのは初めてだった。

(記/1998.7.1)

※QuarkXPressはQuark社の、PhotoShop、IllustratorはAdobeの、それぞれ登録商標です。


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