3年近く前にG4(AGP Graphics)/450MHzを買ったとき、しばらくすればそれまでのG3/G4カードのように、よりパワーアップできるG4カードが出るものと思っていた。
ところが、待てど暮らせどそんな話は聞こえてこない。最近になってようやく、いまも初代PowerMacで利用しているSONNETのCrescendoシリーズと、これまた8500で利用しているPowerLogixのPowerForceシリーズで、それぞれG4アップグレードカードが出ていることを知った。
とはいえ、すぐに飛びつくには値段が少々高い。5万円ほどから15万円ほどまでと幅もあるが、ひょっとしたら新マシンだって買えそうな勢いだ。
なのでもうしばらく模様眺めをしようかとも思ったが結局、動き出した食指は止まらなかった。先日の明け方ネットで、比較的安かったCrescendo ST G4 1GHzをIKESHOPに注文してしまった。59,800円也。実は資金繰り的にも、今を逃すと次はいつ買えるかわからないという状況なので、思い切った。
銀行振込で代金を払ったら、翌日の昼前にカードが届いた。こういうものを横に置いて別の作業をするのはストレスの元だ。だから、すぐにインストール作業の店開きをしてしまった。
箱を開けると、静電気防止袋に入ったCrescendo STカード、デュアルプロセッサと取り替える場合の継ぎ足し板(うちでは不要)、インストールマニュアル、保証書や注意書きの書類、そしておまけのボールペンが出てきた(写真1枚目)。
マニュアルによれば、最新のファームウェアが入っていないとダメだという。見分けるには、システムプロフィールの「製品情報/ブートROMバージョン」が「$0004.28f1」となっていればOKとのこと。確認したらクリアだった。
ここで、最低限必要なファイルをバックアップしてG4をパワーオフ。熱が冷めるまでの時間を利用してマニュアルを読んだ。
15分ほどして作業開始。コード類をすべて外して側面パネルを開ける。8500など以前の筐体でのことを考えると、この内部アクセスの容易さは実にありがたい(写真2枚目)。
まず最初は、ヒートシンクを外す作業。マニュアルには極細のラジオペンチを使うようにとあったが、もっていないので手作業。止め金具のカギ状になった先端をプロセッサカードに引っかけてあるので、側面をもって、下に押さえるようにしながら手前に引っ張ったら、わりと簡単に外れた(写真3枚目)。
続いてプロセッサカードを、固定している3つのネジをゆるめて取り外す。裏面のコネクタでロジックボードに接続してあるので、取り外す際には少々力が必要だった。こういうときはいつも、力の入れ具合がわからなくて不安になるが、うまく外れた。
外したヒートシンクとプロセッサカードとネジを並べてみた。ロジックボード上、カードを外した跡にある白い長方形がロジックボード側のコネクタだ(写真4枚目)。
次は、静電気防止袋からCrescendo STカードを取り出す。プロセッサ上を覆っている黄色と白の部分は「熱伝導パッド」と呼ばれるものらしい(写真5枚目)。
考えてみれば、450MHzを1GHzと2倍以上にするわけだが、ヒートシンクは従前と同じものを使用するわけだから、放熱の効率を上げないと過熱してしまう。「熱伝導パッド」はそのためのものと見た。
裏面には、ロジックボードと接続するコネクタがあり、保護キャップを取り外して装着の準備をする(写真6枚目)。
いよいよCrescendo STカードを装着。コネクタにうまくはまるように注意しながらセットし、3つのネジで固定した(写真7枚目)。
さらにヒートシンクを元のように装着。マニュアルには「正しく取り付けられていないと、プロセッサが正常に冷却されず熱暴走し、Crescendo/STカードを破損する可能性があります」などと書いてある。なので、大丈夫だろうかと一番気になった作業となった。
装着し終わると、ヒートシンクの下からのぞくプロセッサカードの色が違うだけで、外見上は作業前とほとんど同じ状態に戻った(写真8枚目)。20分ほどの作業だった。
マシンを元のようにセットして、いよいよ1GHzになったG4(AGP Graphics)をパワーオン。いつもの起動音を聞いて、とりあえずホッとする。
このシリーズのカードはスリープに対応していないので、まず最初の設定はスリープをオフにすることだった。もっとも、未対応はCPUのスリープのみのようで、画面スリープやハードディスクのスリープはOKだから、うちでの使用にはさほど差し支えはないようだ。
さて、一番の関心事のスピード。まだ少しさわっただけだがまず、倍以上のクロック周波数という、そんなに劇的な変化は体感できない。むろんそこまで期待もしていない。しかし、確かに早くなっているのを実感する。
また、アプリケーションの操作に安定感というか、引っかかりがないというか、そんな安心感を感じられるような気がする。このところ、フリーズの頻度が少し高くなっていたような気がしていたので、仕事にも好影響を与えると期待したい(一番悪影響なのは、こんなことを書くのに時間を費やしていることだけど……)。
まあしかし、こうしてパワーアップしてもすぐに慣れて、また物足りなくなってしまうのだろうなあ。
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