ほとんど使わないメニュー(3)
■アンカーボックス
アンカーボックスは、テキストボックスや画像ボックスをそのままテキスト中に埋め込んだものだ。特殊なマークを埋め込んだり、外字が使えなかった頃はIllustratorで作字したものを埋め込んだりして使った。他にも右のサンプルのように、ちょっとした網かけやドロップキャップスがわりにも使える。「12-3」「た」という箱がアンカーボックスだ。
またアンカーボックスはテキストと同様に扱われるので、テキストの移動に伴ってちゃんと移動するし、カットやコピー&ペーストもテキストと同じようにできる。うまく活用すれば便利な機能だ。
ところが、この頃の私はこれをほとんど使わない。かつてアンカーボックスを使ったが故に、なぜか思うようにならなくなるケースが多かったからだ。
たとえば右のサンプルで、「ドロップキャップス」という文字列が間延びしているのがおわかりだろうか。これは14級の文字が12字ピタリと収まるサイズのテキストボックスで、ジャスティファイを使用している。「た」という黒ベタの箱は7mm幅だからちょうど2字分。計算上はうまく収まるはずだが、1字はみ出してしまうわけだ。ボックスの壁の厚み(?)のせいだろうか、それともポイントとミリの計算の丸めのせいか。原因はよくわからない。
サンプルの場合は黒ベタの箱をほんの少し小さくすることで解決はする。しかし1文字サイズだと0.001mm小さくしても文字は入らなくなる。作字したものを埋め込んだ場合など、そのことで文字揃えが崩れてしまってけっこうイライラしたものだ。
ほかにも、行送りが狂ったり、カタログのスペックなどではアンカーボックスが邪魔をしてうまく行間を詰められなかったりと、いろいろと苦労したことがあった。
そんなわけでこの頃はほとんど使わず、もっぱら、回り込みを「なし」にしたボックスを貼っているわけだが、テキストが移動したためにうっかり1行ずれていたり、テキストが入れ替わっても消し忘れていたということもないではない。
もちろんアンカーボックスは、私が使っていないだけで、決して「使えない」機能ではない。うまく使えば便利なのだから、使う場合はあらかじめケースを想定してよく検討しておくことがトラブルをさけるポイントだろう。
(記/1997.12)
|