[QuarkXPress奮戦記 vol.18]

QuarkXPressとフォントのWidMax値(1)

■文字組みがズレる理由

 QuarkXPressの縦組みで、出力したら文字組みが崩れて、せっかくの仕事が台無しになったという経験をした方も少なくないのではなかろうか。これは特に、細明朝体、中ゴシック体で組んだ場合によく起こる。MacOS付属のフォントである細明朝体、中ゴシック体は、LリュウミンL-KL、M中ゴシックBBBがインストールされたシステム、プリンタで出力すると、それぞれ置き換わってプリントされるからだ。
 私も今年の初めに経験したので、いったいなぜそうなるのかいろいろ調べてみた。その結果、ひとつはQuarkXPressが縦組みに「WidMax値」と呼ばれるフォントの文字幅情報を参照すること、もうひとつは、モリサワフォントのうち上記を含む4書体だけがその「WidMax値」に違いがあった、という二つが原因だと判明した。

フォント用語

「WidMax値」とは、上の図の通りフォントの文字幅のことだ。これはモリサワがユーザー宛に送ってきたCD-ROM「CIDご案内及びBitmap集」の「OCFとCID混在の注意点」に掲載されていたものだ。

文字組みサンプル
QuarkXPress3.3Jの場合

 この「WidMax値」は、モリサワのほとんどのOCFフォントで「4096」だが、4書体だけが違って、次の通りだという。

  • LリュウミンL-KL=3866
  • B太ミンA101=3883
  • 見出しゴMB31=3993
  • M中ゴシックBBB=4157

 これをQuarkXPressの全角文字を基準にしたトラッキング値に換算してみると、およそ次の通りになる。

  • LリュウミンL-KL=-11
  • B太ミンA101=-10
  • 見出しゴMB31=-5
  • M中ゴシックBBB=+3

 細明朝体、中ゴシック体はいずれも「WidMax値」が「4096」のようで、フォントが置き換わった結果、右図のように、細明朝体はLリュウミンL-KLとなって詰まり、中ゴシック体はM中ゴシックBBBとなって間延びするということになる。この二つの書体は本文組みにもよく使われるので、特に文字ズレのトラブルが目立つのだと思われる。私のケースもまさにこれだった。

 このトラブルを避けるには、はじめから細明朝体、中ゴシック体を使わず、LリュウミンL-KLとM中ゴシックBBBを使用するのが一般的だ。
 しかし私は、文字サイズを基準に文字数がピッタリ収まるテキストボックスを作って組むという手法をメインにしているから、LリュウミンL-KL、M中ゴシックBBBだとトラッキングなどを使わなければベタ組みができなくなる。そこで私は、全体にビブロス外字を指定するという方法をとっていた。ビブロス外字は、実際の外字部分以外を指定しても元のフォント(LリュウミンL-KL、M中ゴシックBBB等)が使用され、かつ「WidMax値」はビブロス外字の持つ「4096」が使用されるようなのだ。出力側と合わせておくことが必要だが、これでもとりあえず、文字ズレのトラブルは回避される。


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