QuarkXPressとフォントのWidMax値(2)
■CIDフォントで訂正されたWidMax値
「WidMax値」は、OCFフォントからCIDフォントへの移行に伴って訂正された。M中ゴシックBBBのみ「4157」のままとし、それ以外のLリュウミンL-KL、B太ミンA101、見出しゴMB31は、いずれも「4096」になったのだ。
ベタ組みを基本にしている私としては歓迎したいところだが、問題もある。それは、同じLリュウミンL-KLであっても、OCFフォントで組んだものをCIDフォントがインストールされたプリンタで出力すれば、やはり文字ズレが起こるということだった。
そんなわけで、OCFからCIDへの移行はちょっとゴタゴタしているようだ。モリサワがリリースを一時延期したりしたのはそのせいだったという。
■QuarkXPress4.0日本語版で仕様が変更に
しかしうれしいことに、QuarkXPress4.0日本語版ではこの問題が解決されたようだ。「PDTP」誌1998年7月号(工学社刊)では、これについて次のように紹介している。
「QuarkXPressでは、欧文最大文字幅情報として『WidMax値』を使っている。
OCFフォントで作られたドキュメントをCIDフォントがインストールされたシステムで開いた場合に特定の書体でカーニングがズレたのは、この『WidMax値』のため。
しかし、クォークジャパンによれば、先日発売が開始された『QuarkXPress4.0』ではこの問題は解決された、とのこと」(p61)
デモ版で実験したみたところ、右図のようにまったく同じ結果となった。これはいずれもOCFフォントの場合で、「WidMax値」値を参照するという仕様そのものが変更されたのか、それとも別の方法がとられているのかはわからないが、とにかくQuarkXPressの縦組みで、特定のフォントによる文字組みのズレという問題は解決されたようだ。
これはもちろん、OCFフォントで組もうがCIDフォントで組もうがまったく同じ文字組みになるということで、大きな改善だろう。
気になったのは、3.3JでLリュウミンL-KLを使って組んだもの(詰まっている)を4.0Jで開いた場合、逆に間延びしてしまうのではないかということだった。そこでLリュウミンL-KLで組んだ3.3Jのドキュメントを4.0Jデモ版で開いてみたが、3.3Jの文字組みがそのまま維持されていた。デモ版では保存ができないので確認できないが、3.3J形式で保存する限りはその文字組みが維持されるということではないかと思われる。
これは少し注意が必要だろう。3.3Jの文字組みをそのまま使いたい場合はよいが、3.3Jのドキュメントをベースにして4.0Jで組み直すというような場合には、気をつけないければならないようだ。
3.1Jから3.3Jへのバージョンアップの際、句読点やカギ括弧の行末処理で違いがあったが、オプションキーを押しながらドキュメントを開くことで3.3J形式に変更できた。4.0Jデモ版ではオプションキーで開いても文字組みは変わらない。マニュアルで確認するのがよいだろう(私は製品版を持っていないので確認できない)。
(記/1998.7)
※その後4.0J製品版で試したところ、3.3Jのファイルを4.0Jで開く時、オプションキーを押しながら開くと文字組みは4.0J形式に変換されることが確認できた。4.0Jでは、3.3J形式をそのまま使用することも、4.0J形式にして使うことも、いずれも可能のようだ。試していただいたYasudaさんに感謝。
(記/1998.8.3追記)
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