[QuarkXPress奮戦記 vol.24]

変更箇所保持と変更箇所消去(8)

■「保持」か「消去」かよりマスターページの扱いが重要

 ここまでの検討の全体を通して、次のようにまとめることができる。

  1. ドキュメント上のマスターページアイテムは、それを変更しなければ常にマスターページ上のアイテムが使用され、変更すればそのアイテムが保持される。
  2. 上記の原則は、マスターページの再適用、新規適用(つまり強制適用)がなければ、「変更箇所保持」でも「変更箇所消去」でも全く同じ。
  3. マスターページが再適用、新規適用されると、ドキュメント上で変更したマスターページアイテムの扱いが「変更箇所保持」と「変更箇所消去」によって異なる。「保持」ならアイテムのダブり、「消去」ならアイテム削除と、いずれも編集作業上で不都合が起こる場合がある。
  4. マスターページの再適用、新規適用は、(1)手動で強制的に適用する場合、(2)見開きマスターで左右のマスターが入れ替わった場合、の二つのケースがある。
  5. したがって注意すべきは焦点は、(1)ドキュメント上でマスターページアイテムを変更するかしないか、(2)マスターページの再適用、新規適用をするかしないか(起こるか起きないか)、にある。
  6. マスターページアイテムを変更しないなら、再適用、新規適用は影響しない。マスターページアイテムを変更するのなら、再適用、新規適用をしない、起こらないようにする必要がある。

 さらに、編集作業の実際に即して考えると次のようになろう。

  1. シングルマスターを使用するなら、マスターの再適用、新規適用は手動による強制適用の場合に限られるから、それをしない限り「保持」でも「消去」でも同じ。
  2. シングルマスターを使用しても、マスターを再適用、新規適用するのならば、マスターページアイテムを変更しない運用をするのが望ましい。変更しない運用に徹すれば「保持」でも「消去」でも同じ。例外的に変更する場合があるなら「保持」が安全。
  3. 見開きマスターを使用する場合は、手動以外にマスターの再適用が意図せず起こる場合があるので、マスターページアイテムの変更をしない運用が望ましい。変更しない運用に徹すれば「保持」でも「消去」でも同じ。例外的に変更する場合があるなら「保持」が安全。
    ※ただし、左右マスターの入れ替わりによる再適用の場合、マスターページアイテムに影響しなくても、それ以外にドキュメントページ上で作ったアイテムの位置には影響する。見開きマスターの場合は、左右の入れ替わりに特別の注意がいる。

 やはり結局のところ、「保持」にしても「消去」にしてもマスターページの再適用、新規適用で問題が起きるわけだから、いずれを選択したとしてもマスターページの扱い、運用の方が重要だといわざるをえない。ドキュメントページ上でマスターページアイテムを変更しないマスターページの作り方と運用が最も安全で、かつマスターページを変えることによって可能な一括更新などにも有効だと思われる。
 しかし、ドキュメント上でマスターページアイテムを変更しないことを原則にしていても、たとえば1か所だけとか、ケースバイケースで変更することはありうる。そこで、再適用や新規適用をした場合に消えてしまう「消去」よりも「保持」の方が安全ではなかろうかと思う次第。こうなると、いわば保険のようなものだ。

 早い話が、ドキュメント上でマスターページアイテムを変更すれば、それはもはやマスターページアイテムではなくなるということ。それをマスターページから更新することはできない。
 そういうアイテムをマスターページに作る効果は少なく、ライブラリに登録して必要に応じてドキュメントページに取り込んでも、編集効率としてはさほど変わらない。むしろそのことにより、マスターページ再適用などによるトラブルを減らす効果の方が大きいだろう。

(記/1999.5.24)

<<BACK

][