変更箇所保持と変更箇所消去(7)
■「保持」と「消去」はオプションだった
マニュアルには次のように書かれている(3.1「リファレンスマニュアル」P62)。
- QuarkXPressが既存のドキュメントページに新しいマスターページを適用する場合、ユーザーの手によって変更が加えられていないマスターページアイテムは常に変更後のドキュメントページから削除されますが、ユーザーが変更を加えたマスターページアイテムについてはマスターページアイテムポップアップメニューの設定によって、その扱いを制御することができます。
- 変更箇所保持を選ぶと、ドキュメントに新しいマスターページを適用した場合でも、ドキュメントページ上で変更を加えている旧マスターページアイテムについては削除されません。
- 変更箇所消去を選ぶと、ドキュメントに新しいマスターページを適用した場合には、マスターページに変更を加えていても、あるいは加えていなくてもそのドキュメント上のマスターページアイテムは削除されます。
カラー文字は筆者によるもの。グリーンの文字の箇所からは、変更を加えていないマスターページアイテムは常に新しいマスターページアイテムに更新されるのが原則で、もう一つの「でも」は、変更したマスターページアイテムも原則として保持されることをそれぞれ示しているから、前ページの例のようになるわけだ。
そして赤字の箇所から、「保持」と「消去」はマスターページを再適用あるいは新規適用する場合(つまり「強制適用」ということになる)のオプションだと理解すれば、かなり納得できるのではあるまいか。
とはいえ逆から見ただけで、内容的には先に示した「保持」と「消去」の四原則と同じだといえよう。先の表の「通常時」の欄に「更新時」を加え、次のようにすればより正確になる。
選択モード | 保 持 | 消 去 |
マスターアイテムの扱い | 無変更 | 変 更 | 無変更 | 変 更 |
表示 アイテム | 通常時及び更新時 | M | D | M | D |
マスター再適用時 | M | D & M | M | M |
結局のところ、前ページの例のような運用の保障は、再適用や新規適用がないことに尽きる。見開きページを使用するケースがほとんどの私は、左右の入れ替わりによって再適用されるケースがあまりに多かったため、逆から発想することになったということかもしれない。
ところがこれには、実は例外がある。
■マスターページ適用原則の例外
ドキュメント上で変更を加えていなければマスターページアイテムは常に更新されるはずだが、明らかにこれが効かない例外的ケースがある。
それは見開きマスターを使用していて、左右のページで異なるマスターが適用されている場合だ。どうやら見開きマスターは左右セットで使用しないと、原則が適用されないようだ。
そしてこれは、マスターを変えるとドキュメントも自動的に変わるものだと思い込んでいるとほぼ確実に見落とすケースで、私はこのために日付や柱の訂正もれを何度も経験させていただいた。
この場合は、左右のそれぞれに該当するマスターを再適用する必要がある。さらにこの場合、すっきりと変わらないケースに遭遇することも少なからずある。私はいつも「保持」にしているから、つまり背面に出現してしまうわけだ。このあたりはどうも解せない。
■「変更箇所」の例外
また「Gordian Knot」で指摘したことでもあるが、アイテムを変更しても「変更箇所」とみなされないものがある。それが「自動テキストボックス」と呼ばれるもので、テキストのオーバーフローに応じてページとボックスが追加されていくテキストボックスだ。
テキストボックスは通常、文字を入力したり訂正すればそれだけで変更と見なされるが、これだけはテキストの扱いに関する限りいくら訂正しても関係ない。マスターページでサイズを変更すればきっちりドキュメントページが更新されるし、再適用でも、「保持」でも「消去」でも同じなのだ。その代わりに、マスターページ上でテキストを入力することはできない。
もちろんテキスト以外のサイズや位置などの属性を変えれば、変更と扱われることは言うまでもない。
実は私は当初、テキストを変更しても「変更」には関係ないというこのボックスの便利な性格が、すべてのテキストボックスにあてはまるものと勘違いしていて、例外だと気づくまでにずいぶん時間がかかった。
さて、このあたりで全体をまとめてみよう。
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