[QuarkXPress奮戦記 vol.25] |
数式との格闘(1)
去年の秋からかかっていた総文字数53万余字、A5判で総ページ数664ページとなった数学関係の書籍の仕事が、このほどようやく終わった。多数の数式を含むということでかなり躊躇した仕事だったが、始めてみると数式云々よりも、稀有と思われるほどの悪筆に悩まされ、全部の初校を仕上げるだけで半年かかったという、おそらく忘れられない仕事の一つになった。 ■数式用のフォントを使えたらよかったが……
最初にぶつかった問題はフォントだった。
その他、区別しやすいように「α」「β」などに「Symbol」を、「lim」や「sin」「cos」などに「I Times Italic」を使用した。
ついでに次のサンプルは数式関係をすべて欧文フォントにしたもので、「Times」と「I Times Italic」を使用している。「=」「+」などの記号類と英数文字との縦のバランスは、この方が明らかに良い。しかし、どうも詰まりすぎる印象があるのと、括弧がずれるのが気に入らなかった。特にマイナス記号は小さくて見にくい印象が強い。また、記号はローマン、英数はイタリックと使い分けをやりだすと、かえって作業が手間になる。
1バイト文字と2バイト文字のバランスの点では、いずれにせよ不満が残るところだ。論文なので数式もテキスト中に含まれることがほとんどだったが、下のサンプルのように実際にテキスト中に置いてみると、数式だけでは不揃い感が強い上の二つの方がかえってマシのように思えるし、式に数字が含まれるとそれによってまた印象が変わる。このあたりは好みの問題かもしれない。なお、「和文/欧文のスペース」は25%にしている。
追記●数式などの英字のローマンとイタリックの表記については独自のルールがあるそうで、t-createの玉田慎一さんは「名称や演算記号、単位はローマン体、数値や物理量はイタリック体」と紹介している。そうとも知らず、どうやら私はまったく逆にしていたようだ。詳しくは玉田さんのサイトの「理系 DTP の世界」を。(11/17追記) |
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