京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
伏見、大手筋通り。商店街から西へ少し歩いた濠川(ほりかわ)にかかる橋のたもとに「おきな屋」という酒と米の専門店がある。そのあたり一角を占める酒蔵・北川本家直営の店だ。
よく考えたら、京都市内にもう1軒の蔵元があった。2005年の合併により京北町が京都市になったので、周山にあって「初日の出」で知られる羽田酒造も、京都市内の蔵元となっていたのだ。うっかりしていた。
油長さんからメールマガジンが届いた。英勲の「普段は蔵元の秘蔵酒として、イベント会場でのみ販売される限定品を今年度60本に限り当店で販売することが許可され」て、6月と9月に各30本入荷するという。どうも僕はこういうのに弱いようで、そんなレアものなら買わねばなるまい、とさっそく予約してしまった。
というわけで、先月に続いて今月も同じ蔵になった。
油長さんからメールマガジンが届いて、次のような蒼空「おりがらみ」の限定販売の案内があった。
「藤岡酒造の「蒼空」は槽搾り(ふなしぼり)・無濾過にこだわっている為、搾った清酒をビンに詰めた後に、わずかにおりがらみ(うすにごり)ができます。これまでは、蔵内で使われていたのですが、今季の2号タンク純米吟醸山田錦のおりがらみ(うすにごり)生原酒を特別に分けていただけることになりました」
食事をしながらお酒を飲むとき、食べたものが口の中にある間にお酒を含むのと、食べものを飲み下してから飲むのと、二つのタイプがあると思う。僕は飲み下してから飲むタイプだ。
キンシ正宗で前回飲んだのは酒造り体験で醸されたお酒だった。それだけに純米吟醸の斗瓶取というぜいたくなものだったが、今回は通常流通している商品から選んでみようと思った。
いつもの油長さんで、ラベルにもまともに「正宗」とあり、銘柄そのままの「金鵄正宗」が目にとまったので、これぞ正統かと思って求めてみた。「鵄」は「トビ」と読むようだから、「キンシ」は「金のトビ」ということらしい。