FD入稿用テキストファイルの作り方
以前にも、フロッピーで入稿される原稿が曲者だという話を書いたが、この際、どんなファイルが望ましいのかを簡単にまとめてみようと思う。フロッピーなどデジタルデータで入稿されるライターのみなさんに読んでいただければありがたい。作業がスムーズに進み、ミスが少なくなるのではないかと思うのだが……。
以下に、最小限これらくらいは、というものを試しに書いてみた。ご意見などあれば寄せてください。
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■基本は棒打ちテキスト
フロッピーで入稿する際は、データだけでなくプリント原稿も添付するのが原則。そしてそのデータは、いっさいの編集をしない棒打ち状態のテキストファイルが最も望ましい。
もちろん、原稿にはセンタリングをしたり、引用のために字下げをしたり、見出しなどで文字を大きくしたり、あるいは段組にしたりと、さまざまな編集がされる。しかし現場では、これらの作業はほとんどDTPソフト内で行っている。
また、MS-DOSテキストファイルで入稿する場合が多いが、こうした編集がされていると、変換の際に崩れることが少なくない。これは、元データを作成したソフトの修飾機能が変換の際には無視されることが多いからだ。最も困るのは段組編集したファイルで、変換によって段組は完全に崩れてしまう。
したがって、プリント原稿や組み見本としてさまざまな編集・修飾機能を使うことはさしつかえないし、必要でもあるが、データとして入稿するファイルは、それらの修飾を解除して文字データだけにするのがありがたい。■データ作成のポイント
(1) 改行は改行キーで
よくある例に、改行キーで改行しないで、スペースを補っているものがある。これは文字組みが崩れる原因になる。改行は確実に改行キーで行いたい。(2) スペースで字下げしない
引用などの字下げに、スペースを使っている例も多い。必ずしも原稿用紙と一行の文字数が一致するわけではないので、このスペースが文中にくる場合が少なくない。こうした字下げについては、プリント原稿に指示をして、データでは字下げをせずに棒打ちにしておくのがよい。
これは、作成ソフト側でインデント機能を使っていても、それがデータ変換の際にスペースに置き換わることがあるので要注意だ。
また、段落の書き始めの一字下げのスペースも、私はない方がよい。スペースで一字下げされていると、データ変換の際に半角に変換される場合があり、そうなると文字組みが崩れることがある。(3) 英数字の表記は組み方向に合わせる
数字は、横組み、縦組みに合わせて入力されているとありがたい。たとえば、最初から縦組みで漢数字使用とわかっているのに英数字が使われていると、すべて漢数字に置換する必要があり、こうした作業中にミスが起こる可能性がある。基本的には横組みは英数字、縦組みは漢数字とされるのがよい。
また、数字以外の英数字の場合、横組みは半角、縦組みは全角を使用するのがよい。
■注意したい文字
(1) 括弧
括弧には、日本語組版で使わないものが含まれることが多い。キーボードから英数モードで入力する場合にそうなるのだと思われるが、注意したいのはたとえば次のようなものだ。
<○○>ではなく〈○○〉
≪○○≫ではなく《○○》
”○○”ではなく“○○”
(2) 丸数字や括弧付き数字
丸数字や括弧付き数字は、文字コードの違いによって文字化けする可能性が高い文字だ。コードの違いについては当面仕方がないので、プリント原稿がどうしても必要になる。(3) 外字や絵記号
外字は使わないのがよい。割り当てられた文字コードよっては文字化けして他の文字に変わったりする。こうした場合、それを見つけるのが難しく、誤植の原因になる。データでは外字を「■」などで代用しておき、プリント原稿に書き込むのが安全。
絵記号も同様だが、この場合はメーカー特有のものが多いので、同じ絵記号を再現するのが難しい。使わないのが無難だ。(4) 三点リーダー
これは「…」のこと。いわゆる点々だが、中黒「・」で代用されているものが少なくない。組版ではほとんど三点リーダーを二つ重ね「……」とするのが通例だ。(5) 読点
読点には「、」と「,」があるが、基本は「、」だ。横組みの場合に「,」を使う場合がある。この場合の句点は「.」と「。」の二種類があるが、「,」と「.」がセットとみるべきだろう。縦組みでは「,」を使わないので要注意。さしあたりは、こんなところだろうか。細かいことはまだまだあるが、少なくとも私は、これだけやってあればほとんど文句はないのだが……。
なお、これらのことは出版社や編集部などによって違いもあるので、事前に打ち合わせしておくことが必要だ。
(記/1998.4.7)
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