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「お酒の色は緑色なんですよ」
先日の油長さんでの蔵講座の講師は、「蒼空」の蔵元、藤岡酒造さんだった。これはその時の藤岡さんの言葉だ。
ちょっと印象的だったので、かねてより飲みたいと思っていた純米大吟醸、それも今年の春に絞ったばかりの生酒を買って帰り、改めて見てみた。本当に淡い緑色だった。
聞けば、絞ったばかりのお酒は緑色だという。参加者から「それは麹の色か」と質問が飛んだが、どうやらそうらしい。濾過して透明にすると、色だけでなく味もある程度は吸い取られるという。だから「蒼空」は無濾過なのだそうだ。
すると、僕がこれまで「黄色っぽい」と思っていたのも、ベースはみな緑だったということだ。これまで何度もたれくちをいただいたが、ちっとも気づかなかった。蔵やお酒によって濃淡に差があるのかもしれない。いずれにせよ、認識を改めようと思う。
さて開栓。封印紙を静かにはがしてコルクを抜く。手で抜ける。小さく「ポン」という。これは、2杯目を注ごうとコルクを抜いた時も同様だった。活性酒ほどではないにせよ、生酒なので酵母が生きている。その証の声のように思えた。
コップを口元に近づけると吟醸香が香る。もともと食中酒指向ということで、香りは控えめらしい。最初こそ確かな香りだったが、あっという間に鼻がマヒしたのか、しばらくすると香りがずいぶん薄らいだ。
口に含むと、軟らかい。たまたま蔵講座の前に少し時間があったので御香宮の「御香水」を初めて味わったところだったが、どうやら同じ地下水脈らしく(深さはより深いとのこと)、よく似たおだやかな口あたりだ。
しかし、以前に飲んだ吟醸に比べて味が濃い。どちらかと言えば酒だけを楽しみたい僕としては歓迎したい。つまり、味のある酒だ。
喉ごしは辛い。だからアテがほしくなる。いつもの生協のポールウインナーを食べながら飲むのが合う。
ところで蔵講座の帰り、前から行きたかった蔵元の酒蔵Bar「えん」に、初めておじゃました。とても明るい蔵元の御母堂がお相手してくださった。
蔵元限定の、純米大吟醸のおりがらみを飲んだ。以前飲んだ吟醸のおりがらみに比べるとはるかにモロミに近く、瓶の底に数センチほど白いおりが沈殿していた。その上澄みを飲み、次は混ぜて飲み、といろいろな飲み方を味わった。
なお僕は以前、現当主を「四代目」と書いたが、正しくはこの御母堂が四代目で、現当主は五代目ということらしい。この際、訂正しておきたい。
(記/2007.6.4)
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