[えでぃっとはうすのときど記]

消えた酒蔵

 京のお酒エッセーで、今月は安田酒造の「保寿泉」か「龍盛」を飲もうと思っていた。それで今日、出かけたついでに蔵のある三条会商店街に行ってみた。

 6年くらい前に、取材で訪ねたことがある。確かこのあたりのハズ、と思った付近に酒蔵が見あたらない。はて、記憶違いだろうかと思いながら歩いているうちに、商店街の端に来てしまった。
 そういえば、気になったあたりにマンションがあった。もしや廃業してしまったのだろうか。まとまった広さという点では十分に考えられる。取材した時、杜氏さんが一人で瓶詰めまでしていると聞いたことが思い出された。引き返しながらそのマンションを見てみたが、かつてそこに酒蔵があったと思えるものは何もなかった。

 その後、商店街を反対方向に歩いてもみたが、やはり見あたらない。途中に商店街振興組合の事務所があったので聞いてみた。
「あのう、この商店街に安田酒造さんて、ありませんでした?」
「えーっと、安田酒造さん……、聞いたことがあるような……」
 おいおい、あんた地元の人と違うの? と心の僕。
「確かもうちょっと東の方にあったような……。でもつぶれて、今はマンションになってますワ」
 ああ、やっぱり……。

 ネットで見ると、あちこちのサイトで同酒造の名前を見ることはできるが、その住所を地図サイトで検索すると、そこはやはりマンションのようだった。また、同蔵の廃業にふれた複数のサイトを見つけることができた。どうやら廃業は、2003年前後だった模様だ。うーむ、残念……。

(記:2006/03/10)



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