6回の酒蔵見学終わる
去年の秋から毎回参加してきた油長さん企画の酒蔵見学締めくくりの今月は、「英勲」で知られる齊藤酒造だった。伏見のお酒のなかでも旨いと思う蔵のひとつだけに、ちょっとワクワクしながら出かけた。
同蔵の本蔵の屋上には「全国新酒鑑評会九年連続金賞受賞」との看板(写真)。聞けば以前の酒造のメインは2級酒で、商圏も地元ではなく関東方面だったという。お酒の等級廃止を機に吟醸酒などの特定名称酒に力を入れ始め、地元での蔵の知名度を上げるためにも賞の受賞を、と努力を続けたたまものらしい。
幸運にも、その鑑評会に出す予定だというタンクの醪を飲ませてもらった。精米歩合35%のそれは、真っ白で、芳香な香りと炭酸ガスを含んでピリリとした舌触りの、旨いものだった。 またこの蔵では、念願の麹米を口にすることができた。もっとも、吟醸用ではなかったみたいだし、すでに冷めていたためか香りはあまり感じなかった。他の人からは「甘い」と声かあがったが、僕には「旨い」という感じが強かった。
案内人の方もけっこう饒舌だったが、参加者もいろいろなことを聞いていたので、6回の見学会のなかで一番長時間に及んだようだ。 お土産に、関係者のみの分譲品という生原酒の小瓶をいただいた。「一吟」とまではいかないが、それに近いグレードのものらしい。 さっそく少しいただいた。開栓とともに香りがこぼれ出る。飲むと喉ごしはカーッと辛口だ。そして原酒だからかドーンと重い感じがしたが、後口にほんのりと甘味が残った。旨い酒だと思う。
ところで、先月はバタバタしていてここでは書けなかったが(お酒エッセーにはあり)、「神聖」の山本本家に行ってきた(写真は同蔵直営の鳥せい本店)。 行って初めて知ったが、ここは「伏見銘酒協同組合」として「慶長」「ふり袖」「鶴正宗」「豊祝」の4蔵との共同の醸造工場になっていた。話を聞くと、コストの高い製麹設備などの機械を導入するために共同出資したものらしい。
この蔵の社長さんは伏見酒造組合の理事長でもあるので、伏見のお酒がいろいろ飲める「アルファ酒バー」のような取り組みを常設にしてほしい、とお願いしてみた。蔵元にはけっこう好評らしいが、いろいろと困難もあるらしい。まあ今後に期待、といったところだ。
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