数式との格闘(3)
■複数行に連続するアンカーボックスの問題
分数のためにアンカーボックスを多用することになったが、この扱いについていまだによく理解できないことがある。下のサンプルのように、アンカーボックスが複数行で連続する場合のことだ。これは全部アンカーボックスなのだが、こうできるまでに少し時間がかかった。
これはどうやら、アンカーボックスは複数行で重なってはいけないということのようだ。
今回の場合は分数が多いことがわかっていたので、文字サイズ13Qに対して行送り25Q(6.25mm)と、ほぼ全角送りにした。むろん、数式を含まない部分もたくさんあり、その場合には行間がやや広い印象にもなり、このあたりがぎりぎりではないかと判断したところだ。分数のためのアンカーボックスの高さは6mm。ベースラインシフトで調整すれば、複数行に連続してもうまく収まるはずだった。
このボックスの「回り込み」をあらかじめ「なし」にしてアンカーボックスとしてペーストすると、いろいろ調整してもはじかれて1行空いてしまうということによく遭遇した。ところが「回り込み」を「0」にしてペーストすると、原則は同じようなのだが、ほとんどのケースですんなり収まってしまうのだ。単なるベースラインシフト調整値の問題なのか、あるいは一見すると逆のように思える「回り込み」の設定がからむ問題なのか、私には定かではない。
これはたまたま外注で頼んだ人の処理からわかったことだった。当初は、アンカーボックスが複数行に連続する場合のみ通常のボックスとして貼り込んでいたから、校正でテキストがずれた場合にそのボックスだけ動かずに残ってしまったというケースがよくあって、往生した次第だ。
回避するには、あらかじめ行送り値に余裕をもたせるのが一番簡単な方法だが、行間をやたらと広くするのも考えもので、少しやっかいな問題ではある。
■アンカーボックスと同一行のルビや傍点の問題
アンカーボックスをめぐる問題はもう一つあって、その同じ行にルビや傍点がくると、先と同様に1行はじかれてしまうことだ(これについては別のサイトでも指摘されている)。
もっともこれは今回の私の仕事のようにベースライングリッド固定にしている場合で、そうでなければその行だけ行間が広くなる。いずれにしても問題ありだ。同じことは、アンカーボックスの次の行にルビや傍点がくる場合でも起こった。
これについては、下のサンプルようにルビや傍点部分もアンカーボックスにすることで回避した。これまた外注者の処理から教えられた。サンプルではテキスト位置が少しずれて見えるが、プリントすればほとんどわからなかった。
実は、アンカーボックス内のテキストにもベースライングリッド固定をすればうまく揃うのではないかと思ったが、どうも理解できない動きをするようだ。一時はグリッド位置で揃っているのだが、ボックスのサイズを変えたりすると動いてしまったりする。このあたりも解せないところだ。
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