[ひとりごと(1998.8.28)]

僕の講師活動の必需品

 もの好きな方もあるもので、僕のところにときどき講師の依頼が舞い込むことがある。「機関紙編集講座」とか「広報紙の作り方」といったものだ。そうたいした話ができるわけでもないのに、気がいいものだから引き受けてしまう。
 ところが困ることがある。ワープロやパソコンを持ち込んで操作も含めて実践的な話がしてほしい、というリクエストが少なくないことだ。

 実は何年か前、ワープロ講座に出かけた。参加者は10人程度だったが、それぞれ自分のワープロを持って参加していた。ルポ、オアシス、文豪ミニ、書院、カシオと数種類のワープロが持ち込まれていた。僕が使っているルポのことならたいがいのことがわかるが、その他になったら、同じことをしようと思ってもさっぱり分からない。みんなでちょっとした暑中見舞いを作ろうとしたが、四苦八苦することこの上なかった。こういう形式では二度とやるまいと思ったものだ。
 ちなみに最近はパソコンだが、これまたそれぞれが使っているOSの違いやソフトの違いで難しい。Macを用意してもらったときでさえ、辞書の違いやカスタマイズの違いで、キーボード入力も満足にできないことがあって焦ったものだ。

 そんなわけで以後は、こんなケースがありましたからと断った上で、具体的な操作以前の基本的な考え方などを話すようになった。しかし、話だけではどうも消化不足と思われる。そこで話す内容をまとめた小冊子を作ってみた。
 それ以前は、項目を書き並べた要項だけだった。しかしそれでは話した内容のほとんどは残らない。ならば話す内容を書いておけばいいではないか、と考えたわけだ。初めて使ったのは3年ほど前のことだが、これがけっこうウケた。多くても20人くらいという参加人数ゆえにできることでもあるが、以来この小冊子は僕の講師活動の毎回の必需品になった。
 これはA5版16ページの小さなもので、いつも「○○7話」などとして7項目にまとめている。去年作った「DTP編集─考え方進め方とっておき7話」は、このHPでも公開している。

 このテキスト、ほとんど同じ話をする場合は流用することもあるが、基本的にその都度書き下ろしている。実はこの作業が、僕にとっては意味があるのだ。つまり、当日の話の準備になるわけだ。実際に話す内容を文字にすることは、話を組み立て、まとめる作業そのもので、当日の話もしやすくなる。
 もっとも、あらかじめ内容をまとめたテキストがあれば、わざわざ話を聞かなくてもそれを読めばよい、ということになる。そこはそれ、書かなかったエピソードを交えたり、HTMLファイルを作っていってデモしたりしたと、いろいろな工夫をすることは言うまでもない。

 さて今は、改訂も含めて6作目になるテキストを作成中だ。しかもこれ、わずか10分間のレクチャーのためのものだ。しかし僕は、10分間だから作ろうと思った。一般に、短いスピーチほど難しいと言われる。よく準備をしなければ簡潔な話はできないということだろう。
 今回は、書籍や広報紙の制作現場の人たちが対象で、編集・組版の魅力を話せというリクエストだ。僕は、これまでの仕事を振り返りながら、印象深いケースを7つの話にまとめることにした。
 現在、エピソード仕立てのケーススタディ風エッセー集といった形でまとまりつつある。これまた適当な時期に適当な形でHPに公開したいと思っている。「適当な形」というのは、そのまま公開するにはちょいと具体的すぎて具合が悪そうなのだ。だから補筆の必要があるわけだが、ま、興味のある方は期待してくだされ。

(記/1998.8.28)


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